2011 Fiscal Year Annual Research Report
住宅における最適な空調制御のための滞在行動計測法開発と環境調整行動の教育的誘導
Project/Area Number |
22560581
|
Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
菅原 正則 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (60300513)
|
Keywords | 建築環境・設備 / モニタリング / 住環境教育 / 環境調整行動 / ワークショップ / 住宅 |
Research Abstract |
今年度は、まず住宅内における居住者の在室スケジュールが把握できているものと仮定して、それに応じた予熱暖房が熱負荷低減に及ぼす効果を数値計算により検討した。集合住宅に住む2人世帯を想定し、24時間暖房(条件A)、在室時のみ暖房(条件B)、在室スケジュールに応じ予熱運転を加えた暖房(条件C)の3つの暖房運転条件において室温および熱負荷を求め、比較・検討を行った結果、暖房の運転条件は、従来の暖房方法である条件A、Bよりも、在室スケジュールに応じた予熱暖房である条件Cの方が効率的であった。そしてその予熱時間が3時間の時に総熱負荷、最大瞬時熱負荷ともに大幅な低減効果が見られ、最適という結果が得られた。 次に、仙台市内の集合住宅において計測された在不在データから在室行動の規則性を見出し、数分~数時間後の空調稼働を決定する「予測空調制御法」を提案し、その有効性を検討した。在室行動と空調稼働が同期する度合いを表す指標として定義した「空調合致率」により評価したところ、元データ日数は5日で充分であることが分かった。また、平均空調合致率が最大となる参照時間幅は、15分後予測においては24時間(平均空調合致率87%)であったが、1時間後および2時間後予測においてはともに90分間(同75%および62%)であった。 環境調整行動に働きかける住環境教育の基礎学習教材については、「明るく強い建物デザインを考える教育プログラム」に用いる紙模型の強度特性を明らかにするために、模型実験および3次元構造解析を行った。数値計算と模型実験の結果を比較するとその相関は低く、今後、強さの定義や数値計算の方法、模型の加工の精度を再検討する必要がある。ただし、見方を変えるとこの紙模型は教材であり、数値計算では簡単に推し測ることのできない構造体の挙動の奥深さを知る道具としては、相応しいのかもしれない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的として掲げた3項目について、「(1)滞在行動推定方法の開発」と「(3)滞在行動の空調制御への応用」は使用データの変更はあったものの、概ね達成したと考えているから。一方、「(2)環境調整行動に着目した住環境教育プログラムの提案」は遅れているから。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究計画は最終年度を迎えているので、当初計画に加えて、前年度からの未検討部分の研究を進める。
|