2011 Fiscal Year Annual Research Report
デンマークとの比較による高齢者が居住する住宅のリフォーム内容と実現過程の研究
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22560603
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
小川 正光 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (80126929)
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Keywords | 高齢者 / 住宅 / リフォーム / デンマーク |
Research Abstract |
近年のリフォームの実施内容とリフォームで形成される住宅の今後の方向について、愛知県が行うコンクールの応募作品の図面とデータを分析することにより検討した。平成18年から22年まで、応募作品234の内から三世代以上の世代で形成される世帯63戸を対象にした。三世代以上を対象とした理由は、世代間の結合・分離関係の形成が、今後の住宅平面に与える影響が大きいからと考えたからである。 分析の結果、以下のような点が明らかになった。(1)リフォームを行う、築年後の時期は、10~30年以内が半数を占めていた、住宅としての耐用年数を迎える時期に合わせたリフォームを行っていると考えられる。(2)リフォームを行う面積は、最も多いのが、現在の延べ床面積と同等であった。全面的なリフォームを行っていることは、耐用年数を経過した住宅にとっては妥当である。(3)リフォーム後の平面で、世代間で共用する部分は、玄関と浴室が多かった。玄関については使う頻度が少ないから、浴室も使用頻度が少なく、新たに設置するには費用がかかるからと考えられる。DKやLを世代間で共有する住宅も、これらに次いで多く見られ、世代間の交流を図ろうとしているためと考えられる。(4)家族型と平面における共有面積の比率をみると、高齢者が片親の場合、世代相互が共有する部分の面積が多くなっていた。(5)リフォーム前後の平面の比較を行うと、リフォーム前にはすべての部分を共用する比率が高かったが、リフォーム後には、浴室、DK、Lまでを共用し、他の洗面、便所などの設備は分離する、部分的な共用空間を設ける住宅へと変化していく傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度については、目的に記述した内容をほぼ達成することができた。これは、分析データが確実に入手できたこと、分析の方法・分析項目について、事前に計画していたことが大きく作用していると考えられる。しかし、分析を進めていると、さらに分析したい課題が出てきているため、継続した検討を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、わが国の状況を、外国事例の実態を調査し、その結果と比較することを行う。外国の先進的な事例としては、高齢者・障害者の住宅を無償でリフォームする制度を有しているデンマークの実態調査と、かつては福祉国家であった英国の実態を調査する計画である。調査対象は、文献等で抽出し、依頼する予定であるが、円滑に行かない場合には、現地の知り合いにも援助してもらう。外国事例の調査は1年に限られるため、サンプル数が充分であるのかの検討が必要とされる。不足する場合には、本研究を、今後も継続的に行うことを検討しなければならない。
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Research Products
(1 results)