2011 Fiscal Year Annual Research Report
戦災復興期の地方都市における都市計画の動向と展開に関する研究
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22560604
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
浅野 純一郎 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10270258)
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Keywords | 戦災復興都市計画 / 街路計画 / 初期都市計画 / 土地区画整理 / 地方都市 / 計画標準 / 旧都市計画法 |
Research Abstract |
交付申請書に記したように、本研究の全容としては、(1)戦災復興都市計画とそれ以前の都市計画との継続性や断絶性を主に街路網計画を通して明らかにする、(2)戦災復興区画整理事業の換地計画におけるそれ以前の街路網計画や都市基盤の影響度を把握し、その中から戦災復興区画整理の計画技術の特性(キーパーソンの貢献を含めて)を明らかにする、の二つの目標がある。本年は(1)について、「13.研究成果」に掲げるように査読付論文2編をまとめた他、さらに1編の査読付論文を提出中であり、大きな成果を上げた。(2)については、ケーススタディとして愛知県の中小都市事例の調査分析を進めた。昨年報告した、豊橋に加え、岡崎、一宮のケーススタディが完了した。以下、実績について箇条書きでまとめる。 1.戦災復興都市計画の街路計画に関わる研究成果を査読付論文1編にまとめた(13.研究成果)。 2.戦災復興都市計画の当初計画の構想や計画の立案経過に関し、高知、熊本、岡山、岐阜を事例にして実証的に明らかにした(13.研究成果) 3.戦災復興都市計画の用途地域指定の特徴を明らかにする為に不可欠である、戦前期の初期用途地域指定についてまとめ、査読論文を提出中である。 4.上記、(2)については、岡崎の戦災復興土地区画整理の設計要因について明らかにし、論文発表を行った(13.研究成果)。さらに一宮についても論文を提出中である。 5.米国公文書館で、日本の戦災復興期の都市計画資料調査や空襲前の都市航空写真の保存状況を本格的に調査した。 戦災復興都市計画については旧建設省の「戦災復興誌」が編纂される等、一般に知られている印象があるが、例えば本研究が採るように、戦前の初期都市計画との関係等の視点ではほとんど調査研究が行われていない。本研究は、こうした観点から初出の視点や意味づけを提出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「9.研究実績の概要」、に記述した(1)の目標については、当初の計画以上に研究が進み、成果が上がった。効果的に資料調査ができたこと、2011年の夏場から秋にかけてまとまった研究時間がとれ、自分自身で研究が進められたことが要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
「9.研究実績の概要」に記述した(1)の目標については、戦災復興都市計画における各都市の用途地域指定の特徴を戦前都市計画での指定の変化から計画意図を読み取る方向で明らかにする。これによって(1)の目標はほぼ貫徹される。(2)については、本研究が対象とする30余の都市全てにケーススタディをかけることは時間的かつ人的に不可能であるため、東海地方の都市に絞り、資料を深読みする方向でまとめる。現在、岐阜や大垣の調査を進めているが、岐阜県では公文書資料保存が良き届いている為、愛知県の諸都市よりも深く分析できる見込みがある。この両都市の分析に注力したいと考えている。
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