2010 Fiscal Year Annual Research Report
地域共有資源としての私的空間の樹木群が形成する緑環境の地域共同管理に関する研究
Project/Area Number |
22560605
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
浦山 益郎 三重大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50121380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 健治郎 三重大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20335144)
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Keywords | 私的空間 / 緑環境 / 地域共有資源 / 地域共同管理 |
Research Abstract |
本研究は、維持管理責任が所有者に帰属する私的空間の樹木の管理に、地域住民や地方公共団体が関わる可能性およびそのための社会システムとその要件を検討しようとするものである。そのために、本年度は、私的空間にある樹木や生け垣などの樹木群が豊かであれば、それらが集積することによって形成される住宅地の緑環境が地域共有の資源として認知されることを明らかにするための調査分析を行った。 まず、大都市名古屋市の中から緑量の異なる低層住宅地を10地区取り上げた。具体的には名古屋市緑政土木局の「名古屋のみどり」(2005)をもとに緑被率が10~30%の小学校区の中から、第一種低層住居専用地域にある500m×500mの地区を抽出し、航空写真を用いて私的空間にある樹木群の緑被率、100mグリッドの交点近くの交差点から撮影した写真から私的空間にある樹木群の緑視率を求めた。また、この10地区の住民に対して、私的空間にある樹木群およびそれらで形成される緑景観に対する意識を問うアンケート調査を実施した。さらに、緑量が異なる4つの地区について、私的空間の樹木の維持管理のための支払い意志額を問うCVMによって緑環境のもつ経済的価値を計測した。 その結果、私的空間にある樹木や生け垣などの樹木群が形成する緑量が豊かな地区ほど、住民は私的空間の緑が豊かであると評価しているが、私的空間ばかりでなく地区全体も緑豊かな住宅地であると認知する傾向があること、そして私的空間の緑量が豊かな地区ほど、それらが形成する緑景観を地域の共有資源として意識するものが多いことがわかった。そして私的空間にある樹木群が形成する緑環境に対する年間の支払い意志額をターンブル法およびワイブル法によって求めた。なお、この成果は日本建築学会大会などに発表する予定である。
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