2011 Fiscal Year Annual Research Report
地域共有資源としての私的空間の樹木群が形成する緑環境の地域共同管理に関する研究
Project/Area Number |
22560605
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
浦山 益郎 三重大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50121380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 健治郎 三重大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20335144)
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Keywords | 私的空間 / 樹木群 / 生垣空間 / 緑景観 / 名古屋市 / 松阪市 |
Research Abstract |
本年度の研究目的は、私的空間にある樹木群が形成する緑景観を地域共有資源として認知し、維持管理費用の一部を負担する意志あるいは維持管理活動に参加する意志をもつ住民が存在する範囲を求めることである。まず、大都市名古屋市の東部低層住宅地の中から、航空写真を用いて私的空間にある樹木の緑被率を計測し、それが大きい八事地区を取り上げ、周辺地域を含めてアンケート調査を行った。CVMを用いて維持管理費用を負担金とした場合の支払い意思額を求め、距離別に求めた結果に傾向曲線を当てはめ、緑景観の便益が約4kmの範囲まで広がっていることを把握した。さらに緑景観のもつ価値を直接利用価値、存在価値、オプション価値、遺贈価値に分けて計測することによって、私的空間にある樹木群が形成する緑景観の直接利用価値の及ぶ範囲が1km程度であり、それ以遠になると存在価値などが大きくなることを把握した。 さらに、地方都市における私的空間の樹木群が形成する緑景観の効果と課題を検討するために、緑景観の変質と管理の問題を分析した。具体的には、連続した生垣が残る歴史的な住宅地である三重県松阪市の殿町地区を取り上げ、生垣空間が消失しつつある敷地条件を明らかにした上で、生垣空間保全のための方策を検討した。第1に、連続した生垣空間が多く残る殿町地区においても、土地利用の変化や建替えを契機にここ20年間で生垣の消失が進行している実態が明らかとなった。第2に、地域住民は生垣が消失しつつある現状に対して危機感を感じており、連続した生垣の景観保全を望んでいる。第3に、現在の地区計画や景観計画では生垣空間の保全が担保できないことから、地区計画の見直し等の対応が必要なことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大都市名古屋と地方都市松阪の緑豊かな低層住宅地を対象に、緑量を計測し、さらに住民評価にもとづいて、私的空間の樹木群が形成する緑景観の特徴を明らかにすることはおおむね達成できたと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
私的空間の樹木群が形成する緑景観の特徴を明らかにするために、同程度の公園等と比較することに取り組みたい。.
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