2011 Fiscal Year Annual Research Report
スリランカにおける植民都市、都市型住居の形成とその現代的展開に関する研究
Project/Area Number |
22560606
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 協太 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教 (40434980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 明 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90212513)
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Keywords | 連環都市研究 / インド洋 / コロンボ(スリランカ) / エスニシティ / 日常経験 / 都市型住居 / 居住環境 |
Research Abstract |
昨年度は、都市を巡る先行研究のレビューに力点の1つを置いた。一連の研究の成果と課題を明らかにすることをつうじて都市を眺める視座を定めることができた。 これをもとに、本年度はフィールド調査をつうじて、コロンボに居住する多様な集団と居住環境の分布、およびその歴史的形成を明らかにした。各集団の移動の指標として宗教施設の立地、建設年代、建設者に着目することで、都市内にとどまらずセイロン島内やコロマンデル海岸、遠くはマレー半島、シンガポール、ベトナムにおよぶ、具体的な人を介した都市間の結びつきを明らかにすることができた。このことは、スリランカにおける植民都市と都市型住居の形成を環インド洋地域において進行した共時的事象として位置づけ、非ヨーロッパ系居住者とそのネットワークの意義を考察する上で大きな成果であった。フィールド調査のもう1つめ成果として、コロンボにおける特徴的な居住環境と都市型住居をいくつかのタイプとして把握することができた。 研究成果は、 Kyota Yamada, "Dynamisms in the Hub City of Colombo and the Urban Networks around the Bay of Bengal from the Viewpoint of Daily Activities : The Locations of Religious Architecture from the 17th Century", in Naoko Fukami ed., Islam and Multiculturalism : Between Norms and Forms, Organization for Islamic Area studies (Waseda University), 2012, pp. 79-101 1Kyota YAMADA, Consideration on Unfolding of South Indian Merchant Activities and Formation of Port City Colombo : A Sketch of Organization and Transformation of Urban Space since the 18th Century,「日本南アジア学会第24回全国大会概要集」, Oct., 2011, Osaka, Japan, pp. 17-18 として発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に構想した研究枠組みと手法に変更を迫るような問題は見られず、また予定したタイムスケジュールと大きく外れることなく成果があがっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、その中から複数の特徴的居住環境を選定し、そこでおこなわれる日常生活に特に注目して、人間、物質、制度の合成としての居住環境の現在的動態を明らかにする。 さらに、こうして得られた日常生活および居住環境の特質と動態に関する知見をその居住者と検討し、望ましい居住環境の成立を可能とする要件を探る。可能であれば小規模な物理的介入を試みる。 また、一連の成果を学会報告、論文、著作、その他をつうじて公開する。
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