Research Abstract |
今年度は,研究の目的,研究実施計画にもとづき,以下の調査,実験分析を行い,所定の成果を得た. 1.景観評価の指標・基準の設定 現地調査から(1)当初の総合的なデザインによって形成された団地の景観に対する評価軸と,(2)居住者の生活ニーズに応じた改変による景観変化(生活景)に対する評価軸を設定し,その両方の指標によってタウンハウス団地の景観評価を行う枠組みを設定した. 2.事例の評価と評価指標・基準の検証 タウンハウス団地における改変事例の景観評価実験を下記のように実施した. (1)対象事例設定と画像作成:実験の対象事例として,神戸市のタウンハウス団地のうち,これまでの調査分析の対象である8団地を対象として,住戸の建替え,増築,部分的改変,外構要素・あふれ出しなどの改変タイプごとに改変後(現況)と,改変前の景観の状況を画像処理によって再現するもの,合計59の画像を作成し,被験者に提示してSD法による評価を行った. (2)景観評価と評価指標の有効性の検証 評価実験から得られたデータをもとに因子分析を行い,景観評価に関わる因子として,活動性(第1因子),デザイン性(第2因子)を抽出することができた.これらは,タウンハウス団地居住者の改変行為による生活景形成と,当初設定した事前に総合的にデザインされた景観計画された2つの評価軸に対応するものと考えられ,このふたつの評価指標でタウンハウス団地の景観を評価することが,生活景評価の視点から有効であること示された.また,それぞれの改変タイプの改変事例について推定される因子得点による改変前から改変後の評価の比較分析を通じて,改変に伴う景観変化の特性を明らかにし,ふたつの評価指標と外壁や屋根,バルコニー,ひさし,駐車場ルーフ,門扉,あふれ出しなど具体的な改変要素との関係を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的を踏まえた本年度の当初の研究実施計画では,景観評価実験による分析とその評価指標の有効性検証が中心的課題であった,これに対して,ほぼ,計画どおりに景観表実験を実施し,その結果から,評価因子として,活動性とデザイン性を抽出し,それが,タウンハウス団地における居住者の改変行為による生活景形成と,当初の総合的な統一的景観デザインの評価要因に対応することを提示できたことによる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの分析の結果をもとに,今後は,タウンハウス団地の更新手法と景観マネジメント・ガイドラインに関する検討を進める.まず,更新手法の検討については,変容実態と生活景の形成を踏まえた合理的な更新手法を検討する.増改築の手法として想定される連担建築設計制度,近隣住環境計画制度などの制度を適用し,それが,景観変容にどのように影響するかについて分析を行う.景観マネジメント・ガイドラインの検討については,望ましい生活景を持続的に維持していくために,更新手法と景観変容の評価指標にもとづく景観マネジメント・ガイドラインの構成について提案する.
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