2012 Fiscal Year Annual Research Report
有明海沿岸地域における干拓村落の形態多様性とその要因に関する研究
Project/Area Number |
22560614
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菊地 成朋 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (60195203)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 干拓集落 / 空間構成 / 形成過程 / 居住 / 有明海沿岸 |
Research Abstract |
本研究は,有明海沿岸地域において多様な展開をみせる干拓村落を対象に,開発に関する計画原理を読み解くとともに,形成・変容のプロセスを明らかにしようとするものである。最終年度の本年は,一昨年にフィールドワークを実施した佐賀市犬井道集落と昨年実施した佐賀県白石町福富地区について追加調査を行なった。 犬井道集落については,巨大塊村が近世から近代にかけて屋敷の増殖によって形成される過程を住居群スケールに注目して検討し,時期と場所によってその構成が異なることを明らかにした。とくに,早い段階に形成された地区では,家が道に直接面せず共用の引き込み路を介して道とつながっているが,時代が下ると家々が公道に対してそれぞれ直結されるようになる。これは,巨大塊村成立のプロセスの一端を示唆するものである。福富についても,典型的な散居村の形態をとる北区を対象に住居群レベルの調査を実施し,これらが一定の屋敷形式をもって配置されていることなどを明らかにした。 さらに,当該期間内に調査対象とした3地区に,以前に調査研究を行なった柳川市両開地区を加えて総合的考察を試みた。それによって,両開:列状村,犬井道:巨大塊状村,芦刈:小規模塊状村,福富:散居村と,有明海沿岸部の干拓村落の形態がかくも多様である理由について一定の見解を得た。それは,藩の農政の違い,微地形微気候および水利条件の違い,生業の違いなど,さまざまな要因が重なり合うことによって生み出されており,1つの要因で説明できるものではない。現段階での成果は,それぞれの集落について具体的な形成プロセスを明らかにした点にあると考える。この研究を今後も継続し,干拓村落形成に関する総体的な見解をめざす予定である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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