2011 Fiscal Year Annual Research Report
現代日本住宅の家族共用空間拡充の動向と計画課題の解明
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22560617
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
鈴木 義弘 大分大学, 工学部, 准教授 (30244156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 俊江 九州女子大学, 家政学部, 教授 (90223990)
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Keywords | 居間 / 座敷 / 和室 / 住宅 / 続き間 / 家族共用空間 |
Research Abstract |
平成23年度の研究においては、以下の点を明らかにした。 1.供給実態の上での居間と座敷・和室の「連続化・一体化」の傾向に対して、選好で認められるのは、これとは正反対の「分離化・拡大化」の志向である。さらにこの傾向は、子の成長とともに顕著となり、また、座敷・和室の使われ方が「接客のみ」あるいは「家族生活のみ」に純化している場合にも同様の傾向が強くなる。 2.入居時から調査時にいたる就寝室の変化をとらえると、ライフステージに対応した多様な形態のあることを見出した。これを保障しているのが1階和室の存在であり、家族共用空間の拡充志向の反映としての和室の補助空間化や和室を設けない住宅の増加は、この多様性を制約する側面があること。 3.居間中心型住宅の普及は、北海道・沖縄で先行していることを確認した上で、このプランタイプに順応している居住者層と先行しない層に二極化していることを明らかにした。これは、今後全国的な傾向にも波及して行くことが予想されるため、精査が必要であると考えられる。 4.フローリングの居間や居室(寝室)においても、ユカ坐の起居様式をとる住まい方が多く認められた。そのしつらえの特徴は、和室のとられ方からの影響も見いだすことができ、プランタイプと起居様式との関係性についても考察を行っている。 5.コンピュータソフトを用いた室内温熱環境シミュレーションを行い、居間中心型住宅に多く用いられる吹抜空間の設計条件の違いによる冷暖房に関する年間負荷量(月別)、最高・最低気温記録日の系時変化についても分析を、地域別の要素も加えて比較研究した。その結果、年間を通じて暖房負荷の占める比率が極めて高く、これを効果的に計画に反映させる方策について考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初には予定していなかった地域性の分析や起居様式の分析を通じた計画課題の解明についての基礎的な分析考察を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
上述した新たな着眼点である地域性と起居様式の分析考察を深め、場合によっては室内温熱環境についての実測調査も加えながら、最終年度における研究の総括を行うこととする。
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Research Products
(14 results)