2011 Fiscal Year Annual Research Report
五島列島のキリスト教系集落群における文化的景観の体系的把握
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22560618
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
木方 十根 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科(工学系), 教授 (50273280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 綾子 九州大学, 大学院・芸術工学研究科, 助教 (50432878)
高尾 忠志 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20380579)
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Keywords | 文化 / 景観 / キリスト教 / 五島列島 / 集落 / 地域 |
Research Abstract |
今日、我が国においても文化的景観の特性把握に向けて、様々な学問分野からのアプローチが試みられている。また文化財としての制度化と保存行政の進展と平行して、すでに約30件にのぼる重要文化的景観が選定されるに至っている。しかし各種調査研究において、「文化」と「景観」の関係についての共通理解、調査研究が今後向かうべき一定の方向性が見出されるかというと現時点では必ずしもそうとはいえない状況にある。今後とも学術的に地域の景観を読み解き、評価するうえでは、これまで各方面から試みられてきた「文化」と「景観」に関する学史、方法論的展開を概観し、研究スタンスを確立する必要がある。こうした課題を念頭に、本年度は、実地調査の一方で、研究グループの学際的な構成を活かし、研究担当者それぞれの立場と関心から「文化」と「景観」の関係に関する処理論、景観研究の方法論的アプローチに関する研究会を計5回にわたり開催した。そのうち1回は、米国ヴァーモント大学名誉教授で文化的景観研究を専門とするC.リーブス教授を交えた研究交流会とし、多角的な視点を確保することとした。 今年度の成果として、1930年代アメリカの文化地理学及びその背景としてのヨーロッパ近代地理学からICOMOS世界遺産条約に至る文化的景観概念生成史(担当・木方)、共同体・コミュニティと景観認識に関する諸理論(担当・高尾)、カトリック布教に付随する教会組織の地域への定着の問題(担当・福島)の三つのアプローチから研究課題の明確化を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象分野の学際的性格を反映して、理論的基盤の構築のための研究会に力を入れて研究を進めており、一定の成果の蓄積を得たが、一方で実地調査およびその成果はまだ散見的である。
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Strategy for Future Research Activity |
残りの研究期間の前半では、本研究グループの特質、およびこれまでの研究蓄積を活かし、五島列島を具体的な研究対象地域とした事例研究を、各研究者の主体性を重視して展開する。これにより、共同で事例研究を進めるよりも効率的かつ、先鋭的な成果の推進を図る。そして残りの研究期間の後半において、研究成果の総合をはかる計画とする。
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Research Products
(3 results)