2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560623
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
多治見 左近 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (10163461)
|
Keywords | 公的賃貸住宅 / 住宅市場 / 人口・世帯構成 / 住宅建設活動 / 住宅・土地統計調査 / 地域特性 |
Research Abstract |
平成23年度研究目的は、住宅事情や世帯構成、社会・経済的状況の角度から検討することによって、公営住宅をはじめとする公的住宅・施策の、地域ごとの、今日的必要性と位置づけを明らかにすることであり、研究計画として、住宅・土地統計調査の分析によって地域の住宅状況を明らかにした。ただ、住宅・土地調査の原票データに制約があり、集計信頼性を確保するために、都道府県単位で、住宅種別を細分化しない集計単位での分析となった。 研究の核心の一つは、公営住宅が他の住宅種別と比較して固有の存在意義を有するか否かである。分析の進め方として、地域における公営住宅の役割を明示するために、入居世帯の特徴を表示する属性として年齢や所得をとりあげ、この2指標を中心として他の住宅種別と明らかな差違があるか、あるいは近似しているかを指標化することとして検討を行った。相違指標として代表的なものは項目値の住宅種間の平均差であるが分布が著しく散らばっている場合は平均値の相違は散らばりのなかに埋没してしまう。そこで、項目の2つの住宅種の平均差を、二つの標準偏差の合計値から平均差を差し引いた値で除した値を相違の指標とした。これによって得た指標を、都道府県別に、公営住宅とその他の借家、借家全体と持ち家の間で検討することで都道府県別に公営住宅がいかなる位置づけにあるかを把握しようとした。その結果、滋賀県や石川県、香川県などで公営住宅の固有の役割があり、お粉和犬や高知県などでは固有性に乏しい可能性が明らかとなった。ただ、公営住宅の役割はそのような定性的状況だけでなく定量的状況にも左右される。さらにその背景となる地域性との関連にも着目する必要があり。今後はより総合的検討が必要となる。なお以上の研究結果は査読付き論文として投稿したが、査読者の十分な理解を得られず、継続して論文作成を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象とする研究課題はきわめて広範であり、研究方法として採用している統計データも膨大である。当初は研究補助者に作業を分担させる予定であったが、研究方法は複雑で分担させることが難しく、やむを得ず直接に作業をすることとなった。そのため作業の進展がやや遅れ気味となっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
大きくは住宅・土地統計調査に基づく研究と、国勢調査などを用いた地域性・地域背景を検討する研究の二つがある。前者についてはおおむね目途が立ってきているので、取りまとめ方法を定めて検討を行う。一方の国勢調査などの統計に基づく地域性の検討については、従来の人口分析などの蓄積にいくつかの項目を追加して、公営住宅に関わる要因のみに限定して検討を行うこととする。
|