2011 Fiscal Year Annual Research Report
切迫集住から見るひとり親世帯の住生活要求に関する研究
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22560624
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
葛西 リサ 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 研究員 (60452504)
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Keywords | 住宅政策 / 住生活実態 / ひとり親 / 集住 / 子育て / 子育て / 非血縁関係 / 家族 |
Research Abstract |
本研究の最大の目的は、非標準世帯であるひとり親(母子世帯・父子世帯)の自立した生活を住まいの視点から後押ししようというものである。労働市場への女性の参加が一般化されてもなお、子育て環境は、あいかわらず標準家族(専業主婦による育児)を基軸にしたものとなっており、それがゆえ、共働き世帯はもとより、育児と仕事の両立が不可欠となるひとり親にとってはなお一層過酷なものとなっている。ひとり親の増加がわが国でも問題視されつつあるが、その解決策を就労支援にのみ特化しようとしている状況にあっては、それは解決しえないといえる。なぜならば、ひとり親の生活問題は、育児、就労、住まいなどが複雑に絡み合って生じているからであり、この問題を総合的に把握し、包括的な支援を提供していくことこそが、解決の近道であると考える。この解決策の1つとして、本研究では、非血縁関係にある複数の世帯が「1住宅」にてケアの不備を補完し合う住まいに求める、ケア補完型集住を提案することを最終的な目的としている。初年度は、わが国におけるひとり親の住生活問題の把握、及び、ひとり親を対象とした「集住」事例を収集し、整理した。本年度は、諸外国においても、女性の就業率が最も高いデンマークを事例に検討を進めた。集住事例を検討する前に、本年度は、デンマークのひとり親の住生活実態の解明に努めた。具体的には、デンマークコペンハーゲン市内において、ひとり親の住生活問題を支援する(国内唯一の民間支援団体)Foraelder Fondenの事例及びそこに係るひとり親に対してインタビュー調査(一般のひとり親、及び学生ひとり親を対象)を実施した。デンマークにおいても、ひとり親、特に母子世帯の所得は一般世帯の約4割程度となっており、また、離婚後の住まいの確保は深刻な問題であった。こういったひとり親に対して、Foraelder Fondenは全国47カ所の民間賃貸住宅を自治体との連携のもと、提供していた。また、資格等を目指し、大学進学を目指すひとり親に対しては、住まい、学費等の提供も支援している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、予定どおり、国内におけるひとり親シェア住宅事例の検討を全て行った。2年目については、海外の事例検討を主な目的としていたが、福祉国家である、デンマークコペンハーゲン市のひとり親の実態について検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である、平成24年度は、これまで検討してきた調査内容のまとめを行うとともに、再度、日本の状況に目を向け、当事者とともに、わが国におけるケア相互補完型住まいの可能性を検討する。 具体的な内容は、ケア相互補完型住まいのいくつかのタイプ分けを行い、それを当事者グループワークやワークショップを通して、実態に即した住まいのカタチを模索する。
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Research Products
(2 results)