2011 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム・ホイアンの伝統的町並みに対する観光地化の影響
Project/Area Number |
22560626
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
内海 佐和子 昭和女子大学, 国際文化研究所, 研究員 (10398711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福川 裕一 千葉大学, 工学研究科, 教授 (60130829)
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Keywords | 観光 / 景観変容 / 世界遺産 / 町並み保存 / 観光地化 / ベトナム / 歴史的町並み / 建築計画 |
Research Abstract |
平成23年度は、当初の研究実施計画通り、ホイアンの観光地化に伴う町家の物理的変化および、使用実態の変化の把握を目的とした町家実測調査および、居住者に対するインタビュー調査を行った。平成23年8月に、21軒の町家において実施したこの調査は、ホイアンの町家の使い方の変化を検証する第2回追跡調査にあたり、平成18年に実施した第1回追跡調査のデータと併せて分析した。そこから、町家の空間構成には変化はみられないものの、空間の使い方に変化が生じていること、調査を重ねるごとに観光産業のための空間が拡大し、生活空間を圧迫していること、町家を観光産業に用いるために、人の住まない町家が増加していることなどを明らかにできた。この分析結果は、平成24年度に日本建築学会やISAIAなどで公表する予定である。 1994年から継続して実施しているホイアンの世界遺産エリア内の主要な通りに面している全建物のファサード写真を採取する景観変容調査は、本年度は、平成23年8月と平成24年3月の2回実施し、例年同様のデータを得た。現在は、最終年度の観光開発と景観整備・町並み保存の両立を目指す方策提案に向け、景観の変容と条例との関係を分析しているところである。 また、当初の研究実施計画では予定していなかったが、ホイアンの旅行代理店に対するインタビュー調査も実施した。この調査は、観光客が捉えているホイアンの観光資源の魅力を把握し、観光産業の展開や、観光産業の構造を知る手掛かりとなった。 平成23年3月には、平成23年8月に実施した第2回追跡調査を分析した概要報告、ならびに、平成24年8月にホイアンで開催される町並み保存と観光に関する国際シンポジウムの打合せを現地において行い、最終年度の準備に入った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、景観変容調査は毎年8月に、年1回実施する計画であったが、実際には、8月、3月の年2回実施できており、より細かいデータが入手できている。変化の速いホイアンにおける年2回の調査は、大変有用である。また、ホイアンの旅行代理店に対するインタビュー調査も実施した。本調査は、当初の研究計画には入っていなかったが、観光客が捉えているホイアンの観光資源の魅力を把握し、観光産業の展開や、観光産業の構造を知るうえで有効であった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は最終年度であるため、これまでのデータをまとめ、本科研費による研究における最終的な目標である、観光開発と景観整備・町並み保存の両立を目指す方策提案のまとめに入る。 平成22年度、平成23年度と、調査はここまで順調に進んでいるため、推進方策の大幅な変更は予定していない。 しかし、まとめていくうえで新たに必要となった調査を適宜追加し、実施していく。
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Research Products
(2 results)