2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560640
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岸 泰子 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 准教授 (60378817)
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Keywords | 京都 / 近世 / 道 / 町 / 管理 / 儀礼 / 葬送 / 中世 |
Research Abstract |
本研究は、近世京都の道に着目し、町・町家と道の関係性や、朝廷・幕府・寺社・町・町人など様々な人々の道の使い方やその目的・背景・意義を明らかにすることで、近世京都の都市空間の特性を都市史的視点から抽出することを目的とする。 今年度(2011年度)は、主に道の管理・建設に着目し、町・公家の記録を中心に蒐集・分析した。その結果、葬送や還幸時の記録に朝廷・幕府・町・町人らの道の管理や建設に対する動向や認識がよく表れていることが判明した。また、これらの道の様相の分析からは、朝廷を中心とする近世京都の都市空間・社会構造の特性とともに、日本の近世都市の特徴の解明が可能であることも判明した。よって、これらの成果を具体的に発表すべく論文執筆の準備を進めているが、さらなる史料の蒐集・分析が必要であるため、来年度も引き続き作業を進める予定である。また、葬送時の道の管理・整備については近世だけでなく中世の事例、いわゆる先例にも着目することで、近世京都の都市空間の形成過程の一端を明らかにすることができた。これについても、論文として発表すべく準備を進めている。 加えて、近世京都だけでなく近世都市の特性の抽出や類型化を試みるため、研究会や学会での資料・情報収集や現地調査を行い、他都市の事例との比較検討を行った。前年度に引き続き、近世京都の道の境界装置としての機能に着目し、戦国期に他都市で構築された惣構や京都の御土居等と比較・分析をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は申請時に設定した研究目的に沿って史料蒐集ならびに分析を行い、論文執筆・発表にむけての準備がすすんでいる点で、研究の達成度は概ね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、今年度の研究の成果を論文として発表する予定であり、その準備を早急に進めていく。 また、来年度は今年度までの成果を踏まえつつ、今年度の史料蒐集・分析の過程で得た新たな問題意識のもとで、より多角的な視点から史料蒐集・分析・考察ならびに現地調査を行うことで本研究を推進する予定である。
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