2012 Fiscal Year Annual Research Report
近世期の北陸地方河川沿いにおける御蔵所の空間構成に関する研究
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22560642
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
相模 誓雄 宮城大学, 事業構想学部, 助教 (20295405)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 建築史・意匠 / 防災 / 環境 |
Research Abstract |
本年度は、福井県及び、石川県加賀地方の藩政期の御蔵所に関する史料及び、実地調査を行なった。 福井県については、越前国と若狭国に分けて主として文献調査を行った。九頭竜川流域である越前国については、勝山藩御蔵所の見取図をはじめ、絵図史料から福井藩の複数の御蔵所の空間構成要素や建物配置等が知られたので、九頭竜川流域における御蔵所の空間構成の、共通性や藩による違い及び、その原因について検討し、論文を作成した。一方、若狭国については、小浜藩の御蔵所があったが、その多くの実態は知られなかった。以上の藩の御蔵所の建築遺構は見られなかった。 また、昨年度検討し発表した、能登国における加賀藩御蔵所の型式の決定要因について検討し、論文を作成した。 石川県加賀地方(加賀国)については、大半が加賀藩領であり、支藩の大聖寺藩領もあった。加賀藩領には多くの御蔵所があったが、文献は限られていた。しかし、見取図が散見されたので、来年度は、加賀藩領における御蔵所の空間構成の、共通性と国による違い及び、その原因について検討することにする。大聖寺藩の御蔵所については、その多くの実態は知られなかった。以上の藩の御蔵所の建築遺構は見られなかった。 今年度作成した上記2編の論文は、日本建築学会計画系論文集に掲載される予定である。以上、失われた近世の水運施設から、主として都市や農村の防災、防衛上重要な知見を得ることができ、大変意義のある研究調査であった。平成25年度は、補足調査を行い、本研究のまとめを行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り進んでいると考えられる。その理由は、これまで当初計画に沿って調査した地域について、それぞれ論文を作成し、発表を行えていることがあげられる。特に、今年度調査を行い、論文を作成した九頭竜川流域における御蔵所の空間構成の共通性や藩による違い及び、その原因は、本研究の重要なテーマの一つであった。なお、当初計画では、河川沿いの御蔵所を対象としていたが、御蔵所の実態(見取図等)が知られる事例の数が多くないので、海沿いなども含めて各国内全ての御蔵所を対象にしている。 しかしながら、間接経費、論文掲載料が嵩み、一部調査費を自己負担した。費用の面で進捗が妨げられる恐れがある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要でも述べたが、来年度は最終年度になるので、本研究のまとめを行う。その対象として、加賀藩領をあげたい。加賀藩領は、加賀国、越中国、能登国の3国に跨り、本研究の重要なもう一つのテーマである、御蔵所の空間構成の国による違い及び、その原因を検討するのに摘例と言える。加賀国の加賀藩御蔵所についての文献調査も進んでいるので、補足調査を行い、論文を作成する。
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