2012 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀英国における新古典主義建築と中世復興主義建築の相関性の検討
Project/Area Number |
22560643
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
星 和彦 前橋工科大学, 工学部, 教授 (70269299)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | バティー・ラングレィ / 建築著述 / 新古典主義建築 / 中世復興主義建築 / 英国 / 18世紀 |
Research Abstract |
平成24年度における本研究の課題には、(1)バティ・ラングレイの著書、『古代の石工術』、『復興され改良されたゴシック建築』の解題、分析、(2)ピクチュアレスクの理論と新古典主義的方法論の関連の考察、の2項目をあげ、(3)として本研究のとりまとめとした。第一項目に関しては、『古代の石工術』の内容の整理と解題を継続し、建築術に関わる部分については検討をほぼ終えた。『古代の石工術』は割り付け法については、モデュール法による作図法と等分割法が併用されていた。一方、それ以降にラングレイの出版した建築書では、おもに割り付けには等分割法が採用されている。本書においてラングレイはモデュール法を割り付け方法にあげなかったが、モデュールを寸法の表記法と捉えためと思われる。この指向は実測図面で明瞭である。各部分はインチで表記を採り、実測は実寸法でおこなっているが、円柱からエンタブラチュアまでの全体構成の割り付けは等分割法を採用し、ラングレイの推測が提示されていたからである。ラングレイは作図法がオーダーの割りつけられる手順を示すことにも有効性をみいだしていたといえる。ラングレイにとって割り付け法とは、寸法の表記と割り付け手順の提示を満たすものと理解されていた。こうしたラングレイの方法の分析から、結果として、オーダーの割り付けの体系化を表現することについては、等分割法が妥当であると判断されたと考えられる。さらにラングレイの出版した著作をとおして検討すると、例の提示が初めはイタリア・ルネサンス期やそののちの建築書からの複数の実例の引用をもとにしてい、のちには自ら案出した例を対置させ、最終的には自らの案のみとするように変わった。割り付け方法については、等分割法が適切であるとみなしたと捉えて妥当であるが、ラングレイ以外の引用については部分的にモデュールの表記も残ることになっている。第二項目に関しては、『復興され改良されたゴシック建築』が重要で、基礎的検討は終えている。しかし発表できる形にするため、もう一段の考察が求められ、またピクチュアレスクの理論との関連に関しては、同時代の英国建築家を取り上げる必要性が生じており、この点は今後の課題として残った。したがって今後の課題として残った。第三項目の研究のとりまとめについては、害一項目と第二項目の総体となっている。
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