2010 Fiscal Year Annual Research Report
古代日本の宮殿の建築的特質と歴史的意義に関する研究
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22560644
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
溝口 正人 名古屋市立大学, 大学院・芸術工学研究科, 教授 (20262876)
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Keywords | 宮殿建築 / 平安宮 / 宮殿 / 平安時代 / 内裏 / 遺構 / 庭園 |
Research Abstract |
まず、可能な限りの悉皆的な文献の調査を行い、平安時代における平安宮を中心とした宮殿に関する記述を網羅的に収集し整理した。特に同時代的な視点から古代日本の人々の建築形態の把握の実態について資料の再整理を行い、宮殿建築の中枢を占める大極殿と寺院建築との形態的な類似性が、当時の認識にも表れていることを文献的に実証した。さらにその他の貴族住宅や寺院として施入された事例について建築形式の整理を行い比較検討した。成果は論文「平安時代の建築観と建築的実態-『左経記』長元元年7月19日条の記述を手がかりとして-」にまとめた。続いて近年データが蓄積されつつある考古資料との比較検討を行い、建築との相関に着目しながら整理を行った。特に平安時代の宮殿や貴族住宅の建築について、遺構から規模や配置が推定される事例について配置と敷地利用の観点から庭園との関係について整理した。この点では近年の発掘調査の進展から考察が可能になった里内裏の事例を例示して歴史的な背景を踏まえた考察を行い、建築の配置が宮殿建築にみられるような左右対称性のみでは決定されていないことを指摘した。また住宅建築に接近する寺院建築の形態的な実態を整理し、京内と京外との空間的な相違が建物の配置や選択される建築形式にも関連があることを、庭園との関係から読み解いた。これらの成果は、論文「平安時代の建築と庭園」にまとめた。さらに奈良時代以前の宮殿建築との関係、東アジアとの比較も含めて検討するべき点が整理された。
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Research Products
(3 results)