2010 Fiscal Year Annual Research Report
中世から近世までの軒規矩術法の変容過程に関する研究
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22560649
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大上 直樹 大阪市立大学, 都市研究プラザ, 研究員 (60411732)
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Keywords | 建築史・意匠 / 規矩 / 文化財 |
Research Abstract |
本年度は、主に近世の規矩術を中心に研究を実施した。具体的には、近世大工文書の収集と、規矩術の研究会の開催である。また成果の一部を論文として投稿した。 近世大工文書の収集は、規矩術書を中心に荒木家(石川県立博物館)、久保田家(高松市立博物館)、岩城家(滑川市立博物館)など18家の棟梁家の文書資料の調査を現地に赴きおこない、同時に写真撮影をおこなった。 調査によって、新しい規矩に関する貴重な資料が発見されたが、特に江戸時代中期の規矩術の刊本である『秘伝書図解』の類型本が各地に存在する(京都、近江、四国、北陸)ことが確認された。 規矩術の研究会は、規矩の選定保存技術保持者や文化財建造物修理技師をパネラーに依頼し、現在文化財建造物の修理工事がおこなわれている現場で見学も兼ねて、下記の通り実施した。 第1回「小林源蔵著『独稽古隅矩雛形』と現代規矩」(8月21日、大阪府金剛寺、13名参加)、第2回「中世と近世の扇垂木の軒規矩」(11月20日、岐阜県永保寺、25名参加)、第3回「近世の軒規矩と原寸図」(23年1月29日、和歌山県慈尊院、22名参加)。 研究会により、文化財修理技師による規矩の理解の現状と研究の先端及び問題点を明らかにすることができた。 また、日本建築学会へ、近世規矩に関する論文を4本執筆し、現在1本投稿中である。
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