2011 Fiscal Year Annual Research Report
定量シリアルセクショニングによる第2相分散粒子の粒成長抑制効果に関する研究
Project/Area Number |
22560655
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
榎本 正人 茨城大学, 工学部, 教授 (70241742)
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Keywords | 鉄合金 / 粒成長 / ピン止め効果 / 析出物 / 結晶粒界 |
Research Abstract |
Fe-C-B合金でピン止め粒子の数とサイズ分布を測定した結果、セメンタイト粒子は粒界の面、エッジ、およびコーナーのいずれにおいてもランダム分布の数倍も粒子がピン止めされており、Zener理論の仮定から大きくずれていることが明らかとなった。この結果を用い、Zener理論の修正で用いられている仮定と最終粒径の予測値を検討した。その結果、ピン止め粒子のほとんどが粒界にトラップされているとした理論は、粒子の体積分率をfとすると、最終粒径がf^<1/2>に依存し、実測の結晶粒径に近い値を与える。一方、コーナーにおけるピン止めを一義的に考える理論は、最終粒径はf^<1/3>に依存するが、実測値より小さくなる。西沢らの相関モデルは、トラップされる粒子数とf^<2/3>に依存する最終粒径の双方とも実測値に近い。粒界面、エッジ、およびコーナーにおけるトラップを総合的に考慮したHunderiとRyumの理論は、粒界に存在する粒子の割合がランダム分布より大きいことを考慮すれば、現実に近い最終粒径を与える。 Fe-C-V合金で同様の測定した結果、粒界の面、エッジ、およびコーナーのいずれにおいてもランダム分布より多くの粒子がピン止めされていることが明らかとなった。このようなサイズ分布とZenerの修正式で用いられている仮定の妥当性を検証しながら、粒径予測値の検討を行なった。この合金ではセメンタイトとバナジウム炭化物の2種類のピン止め粒子が存在しており、それぞれの平均粒子径が大きく異なっている。サイズ分布の測定には立体統計手法も併用しながら行なっているが、粒子のピン止め位置と大きさを3次元可視化により直接観察する方法も検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究はFe-C-BとFe-C-V合金におけるピン止め粒子の数とサイズ分布の測定、およびそれらと比較しながらZener理論の修正式の検討からなる。Fe-C-B合金については測定、解析を終えて論文を投稿し、すでに掲載されている。Fe-C-V合金については測定を終え、解析を行なっている段階であり、年度内に論文投稿が可能と思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
マルチセクショニングにおける粒径分布の測り方について立体統計的手法も取り入れて解析を行なう。Fe-C-V合金はセメンタイトとバナジウム炭化物の2種類があり、それぞれの平均粒子径は大きく異なる。このような場合のピン止め理論式の平均粒子径(r)について考察を行なう。 3次元可視化ソフトを用いて、ピン止め粒子と粒界の双方を可視化して、ピン止め粒子の空間分布と効果発現のメカニズムを考察する。
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