Research Abstract |
Cu母相にCo粒子が析出する場合について,三次元的な粒子形状を決定するための系統的な電子顕微鏡観察を行った.このCu母相中のCo粒子は,直径相当の大きさが25nm程度まではほぼ球形であるが,この大きさを越えると球から立方体への形状変化が起こり,60nm程度の大きさに達すると,角は丸いものの{100}で構成される立方体に近い形状になる.しかし,時効処理の進行でさらにCo粒子の大きさが大きくなると,Cu/Co界面の状態が整合から非整合に変化し,Co粒子の形状は{lll}で構成される正八面体に近い形状へと変化する.しかし,同一粒子について多方向からの観察を行うと,実際のCo粒子形状と{111}で構成される正八面体形状とのあいだにはずれがあることがわかった.この形状のずれを精密に測定し,その原因を調べた.その結果,Co粒子に絡みつくCu母相中の転位が粒子形状のずれの原因であることがわかった. 立方晶における低指数面,{100},{111},{110}で構成される多面体と球のあいだの形状を持つ微粒子や析出物は,安定な形状で,過去の研究においても頻繁に観察されている.このような形状を定量的に評価するための幾何学的な手段である超球近似について,その有用性を示すための考察を行った.過去の実験で報告されているNiとAlの微粒子について,その形状を超球近似で示した.この場合の超球形状では,球と多面体のあいだの形状を三つの変数,すなわち,{100}立方体の寄与を示すための変数α,{111}正八面体の寄与を示すための変数β,そして球と多面体のあいだの形を示すための変数ηという合計3つの変数で表現する.実際の微粒子形状とその移り変わりが,この超球近似によって適切に表現できることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画した実験が順調に進み,また,得られた実験結果の解析も転位論して合理的に行うことができた.さらに,本研究独自の形状評価手段である超球近似について,これまでの予想を超える応用範囲を見いだすことができたため.
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