2011 Fiscal Year Annual Research Report
化学結合のエネルギー表現に基づく鉄鋼の水素脆化機構の解明と量子合金設計への展開
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22560658
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森永 正彦 名古屋大学, 工学研究科, 名誉教授 (50126950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯川 宏 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (50293676)
吉野 正人 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (10397466)
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Keywords | 水素脆化 / 化学結合 / 材料設計 / 昇温脱離 / 原子価エネルギー |
Research Abstract |
ニオブ炭化物(NbC)、ニオブ酸化物(Nb_2O_5,NbO)の水素トラップ作用を調べた。特に、炭化物と酸化物の違い、また、酸化物において組成が異なり金属の価数が異なる場合についての違いに注目した。ここで、仮にNb_2O_5,NbOを組成式どおりであるとするとそれぞれ、Nb5+およびNb2+の状態にあると考えられる。電子配置がNb^<5+>は4d^o、Nb^<2+>は4d^3であるとすると、それぞれに水素が化学吸着する場合には電荷の偏りおよび移動が異なることが考えられるため、これら2つの酸化物を選択している。 試料への水素のチャージは、ミリング中での水素の曝露によって行った。比較のために、以下の処理を施した試料も準備した[アルゴン雰囲気中でのミリング処理後の水素曝露、アルゴン雰囲気中でのミリング処理のみ(水素曝露なし)、水素曝露のみ(ミリング処理なし)、未処理]。それら試料の昇温脱離スペクトルを測定することによって上記物質の水素トラップ作用を調べた。 いずれの物質もミリング中に水素曝露を施した試料では水素に関連する放出ピークが観測され、水素トラップ作用があることがわかった。NbCでは、ミリング中に水素曝露した場合のみH_2の放出が観測された。同じくNbOの場合にH_2の放出が観測されたが、Nb_2O_5の場合にはH_2ではなくH_20の形で放出されていることがわかった。また、酸化物の場合には共通してアルゴン雰囲気中でのミリング処理後に水素曝露を行っても水素をトラップすることわかった。NbOとNb_2O_5の違いを調べるためにはより正確に放出量、放出温度を評価する必要がある。ニオブ窒化物(NbN)について、同様の試料準備および測定により予備実験を行い、使用した出発試料では水素チャージの処理に関わらずアンモニアの放出があることがわかり、水素トラップ作用の評価にはそれとの分離が必要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に掲げている内容のうち、解析および考察に重要なデータの一つである炭化物および酸化物にトラップされた水素の放出を調べるための昇温脱離スペクトルの取得とその傾向の把握がある程度進めることができていることから、研究全体での進捗状況としてはおおむね順調といえるため。
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Strategy for Future Research Activity |
ひきつづき炭化物および酸化物、窒化物の水素トラップ作用について調べるが、特に組成依存性についても詳しく調べる。このため、より詳細な解析ができるように装置、方法等に改良を加える。結晶構造で整理した水素トラップ作用、水素脆化抑制効果、また固溶合金元素によるトラップ作用を検討するために、実験に加えて理論計算を行なう。研究計画の大幅な変更および問題点はない。
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Research Products
(4 results)