2010 Fiscal Year Annual Research Report
バナジウムー水素系における規則-不規則変態のクラスター変分法による解析
Project/Area Number |
22560662
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
小野寺 秀博 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算科学センター, グループリーダー (20354144)
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Keywords | 水素貯蔵合金 / V-H系 / オーダリング / クラスター変分法 / 体心正方晶 / 侵入型八面体サイト / 変形四面体近似 / 第二近接相互作用 |
Research Abstract |
BCC型水素貯蔵合金の基本系であるV-H系について材料設計、材料開発の基盤確立をめざして、水素のオーダリング機構の解明を図った。V(バナジウム)-H(水素)系の体心正方晶(β1)における水素のOzオーダリング現象についてクラスター変分法による解析を行い、機構解明を目指した。初年度(平成22年度)は、体心正方晶の侵入型八面体サイト(0-サイト)に関するクラスター変分法の変形四面体近似による配置エントロピーの定式化を行い、V-H系におけるβ1構造→β2構造、規則-不規則変態の解析を行った。β1構造のOZ1+OZ2サイトについて、6種類の四面体クラスターを基本とする配置エントロピーの定式化を行うと共に、エンタルピー項を第二近接までの原子間結合エネルギーの総和であらわし、圧力および化学ポテンシャル一定の条件で、クラスター変分法による規則-不規則変態の解析を行った。その結果、β1構造の安定度はz軸方向の第二近接相互作用(ΔE=e_<A-B>-(e_<A-A>+e_<B-B>)/2)よって支配されており、ΔEが負で大きな値となるほどが規則度が増大し安定化することがわかった。しかし、変態温度近傍では計算結果が不安定となり、規則一不規則変態温度を正確に決定できなかった。これは、β1構造の安定化には第二近接までの原子間相互作用だけでは不十分であることを示しており、第三近接より遠距離の相互作用を考慮する必要があると考えられる。 そこで、次年度(平成23年度)は、第三近接相互作用まで考慮するため、9-ポイントクラスター及び八面体クラスターを独立変数とする解析を行う。
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