2010 Fiscal Year Annual Research Report
潜在的負の熱膨張物質の探索とその特性の顕在化に関する研究
Project/Area Number |
22560665
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山村 泰久 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (80303337)
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Keywords | 負の熱膨張 / 熱膨張 / フレームワーク構造 / 格子振動 / フォノン |
Research Abstract |
材料の高度な熱膨張率制御のため,熱収縮をする「負の熱膨張材料」の研究が進められているが,広い温度範囲で負の熱膨張特性を示す物質は限られる.本研究では,新たな「負の熱膨張材料」の創出を目指し,研究代表者の提唱による潜在的に負の熱膨張特性を有する物質群の探索と化学修飾による潜在的負の熱膨張特性の顕在化方法の確立を目的とする.本年度は,潜在的に負の熱膨張特性を有する物質の探索の基礎を築くために,フレームワーク構造と強固な化学結合を有し,比較的対称性の高い潜在的負の熱膨張物質ZrV207系化合物を取り上げ,その物性研究を行った.ZrV_2O_7とその陽イオンZr^<4+>をHf^<4+>に置き換えた化合物について,正の熱膨張を示す温度領域における熱容量,格子定数(熱膨張)を測定し,得られた結果の解析からフォノンの状態密度分布を得た.その結果,これらの物質のフォノン状態密度分布には,負の熱膨張を示す物質のフォノン状態密度に見られる特徴が見られることが確認できた.また,構成原子の振動が制限され,負の熱膨張が抑制されるというメカニズムがあることも明らかにした.これらの結果は,潜在的に負の熱膨張特性を有する物質の探索をする上で,重要な結果であるといえる.このほかに,フレームワーク構造を有する他の物質について文献調査を行い,潜在的負の熱膨張物質の候補となり得る物質の検討を行った.また,今後の研究課題を推進するのに必要な物性測定装置の整備を行った.
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