2011 Fiscal Year Annual Research Report
紫外レーザーを用いたホウケイ酸塩ガラスの光誘起高密度化の評価と塑性変形挙動
Project/Area Number |
22560669
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
吉田 智 滋賀県立大学, 工学部, 准教授 (20275168)
|
Keywords | ホウケイ酸塩ガラス / 高密度化 / 紫外レーザー / 塑性変形 |
Research Abstract |
研究2年目であるH23年度は,ホウケイ酸塩ガラスの深紫外レーザー照射の効果を評価することを目的として研究を進めた。 深紫外レーザー照射装置を用いて,市販のホウケイ酸塩ガラス板に波長248mmの深紫外レーザーを直径約0.1mmの領域に照射した。照射前後で顕微ラマンスペクトル測定を行ったところ,Si-O-Si結合の変角振動モードに帰属されるラマン散乱ピークがレーザー照射により,わずか(~1cm-<-1>)ではあるが高波数側にシフトし,Si-O-Si結合の平均結合角が減少するというガラスの永久高密度化に特徴的な現象が確認できた。 一方,レーザー照射実験で用いたケイ酸塩ガラス試料に,ダイヤモンド圧子を用いて押し込み変形痕を形成させ,変形痕に深紫外レーザー照射を行った。その結果,押し込み応力により高密度化された領域が構造緩和し密度が低下することがラマンスペクトルの変化から示唆された。また,この構造緩和は熱処理による高密度化の緩和と比べて,ラマンスペクトルの変化という点では類似していたが,高密度化された圧痕体積の回復という点ではその変化が小さいことが分かった。すなわち,高密度化されたガラスは,熱処理と深紫外レーザー照射により,それぞれ異なるガラス構造へと変化することが示唆された。 レーザー照射による構造変化と併せてガラスの応力による変形挙動についても研究を進め,ホウケイ酸塩ガラスファイバーの破壊時の永久構造変化についての成果を取りまとめ,押し込み変形痕周囲の応力をその場測定する方法を確立した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は,研究2年目のH23年度にファイバー試料へのレーザー照射を行う予定であったが,レーザーの不調等のトラブルのために,バルクガラスについて照射条件を確立するにとどまり,ファイバーへの照射実験までには至らなかったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究初年度におけるホウケイ酸塩ガラスの応力下での永久変形挙動に関する成果,ならびに次年度の紫外レーザー照射によるガラスの構造変化に関する知見に基づき,ガラスファイバーを室温で永久構造変化させる条件を探索する。そのために,ホウケイ酸塩ガラスファイバーについて紫外レーザー照射による構造変化を評価するとともに,電子線照射も併せて行い,紫外線や電子線の照射が永久構造変化に与える影響を定量的に評価する。
|