2011 Fiscal Year Annual Research Report
粒界ナノストイキオメトリーに基づく複合酸化物の組織制御と機能発現
Project/Area Number |
22560674
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
吉田 英弘 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端材料プロセスユニット, 主幹研究員 (80313021)
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Keywords | セラミック / 構造・機能材料 / 粒界特性 / 輸送現象 / ストイキオメトリー / 組織制御 |
Research Abstract |
粒界ナノストイキオメトリー制御型複合酸化物のモデルサンプルとして、AB204系スピネル(A/B:Mg/Al、Mg/Si)不定比化合物を作製した。構成金属イオンの比率を0mol%~4mol%で変化させ、温度1100℃~1800℃で焼結を行い、点欠陥反応・イオン価数制御を目的として、高温大気炉、真空炉および雰囲気制御炉を適宜使用した。サンプルの焼結緻密化挙動および粒成長挙動から、酸化物多結晶体の微構造発達過程に及ぼすストイキオメトリーの効果を検証した。また、昨年度の研究において明らかとなった、Y203母相系/Y203添加系酸化物多結晶体におけるストイキオメトリーの焼結緻密化への効果についても調べ、電場/応力場印可に依存する点欠陥反応を示唆するデータならびに焼結性・粒成長をはじめとする微構造形成過程への影響を調査した。その結果、結晶粒界ナノ領域において、単結晶および通常の多結晶とは異なる電子状態がナノストイキオメトリーの制御によって形成され、それが焼結緻密化速度の向上と相関があることが判明した。これは粒界固有の点欠陥のみならず、外場印可による点欠陥・原子間相互作用の制御が酸化物の高温物質輸送現象に有効に影響を及ぼすことを意味しており、酸化物の組織制御および機能発現の上で重要な知見が得られた。これらの結果は国内外の学会で(招待講演一件含む)発表したほか、欧文学術論文誌に掲載された。これらの成果をふまえ、粒界ナノストイキオメトリー制御型複合酸化物を作製し、大気および雰囲気制御下での焼結および粒成長挙動を調べると共に、ナノ領域の状態分析を試み、微構造および粒界ナノストイキオメトリーとの相関を検証するための基礎データ収集を図ることで、最終的に粒界ナノストイキオメトリーに基づく複合酸化物の組織制御と機能発現に関しての統一的理解を進めることが出来ると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目標の達成に向けて、ナノ領域でのストイキオメトリーの計測と、その各種伝導特性との相関を調べてきたが、おおむね予定通りであり、解析を進めるためには引き続き実験データの収集が必要である。こうした中で、電場/応力場印可によるナノストイキオメトリー制御が酸化物の焼結緻密化に有効であることが判明した事は予想を上回る成果であった。この知見を複合酸化物系に適用するべく、データの収集を図る必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
粒界ナノストイキオメトリー制御型複合酸化物を作製し、大気および雰囲気制御下での焼結および粒成長挙動を調べる。また、各種伝導特性・力学特性の評価を行い、微構造および粒界ナノストイキオメトリーとの相関を検証するための基礎データ収集を図る。また、粒界ナノストイキオメトリーの状態分析を試み、各種伝導特性(光学特性、イオン/電気伝導性)、力学特性、粒界ナノストイキオメトリーとの相関を探る実験的根拠を収集する。
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Research Products
(7 results)