2010 Fiscal Year Annual Research Report
パルス通電焼結における高速焼結機構の解明と高度化に向けた技術構築
Project/Area Number |
22560675
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
森田 孝治 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノセラミックスセンター, 主幹研究員 (20354186)
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Keywords | パルス通電焼結法 / 酸化物セラミックス / 焼結 / 通電効果 / クリープ |
Research Abstract |
本研究は、パルス通電焼結(PCS)法の焼結原理・機構、特に焼結に対するパルス通電と通電による電場等の外場効果の解明を目指し、酸化物セラミックス(MgAl_2O_4スピネル)におけるPCS時の焼結の律速機構の解明を目的とする。機構解明で重要なことは、焼結挙動に加え、組織変化を考慮した検討が必要である。焼結挙動(速度)に関する報告例は多数あるが、焼結途中の組織観察は皆無であり、多くは最終過程の組織観察のみで議論されてきた。 焼結中の焼結速度と実効応力の相関を評価した結果、焼結挙動は低密度から高密度になるに従って、応力指数n≧4からn~1に連続的に変化するべき剰則クリープを呈した。中間密度域で観察されたn=2(粒界すべり)が本質的なものか、あるいは単なる遷移域か否かはについては、条件を変えて検討の必要ある。TEMによる組織観察の結果、n≧4の領域では、結晶粒内に転位と積層欠陥等の格子欠陥が多数観察されるのに対し、n~1の高密度域では、格子欠陥はほとんど観察されなかった。一連の観察から、これら格子欠陥は、部分転位の片方のみが優先的に活動することにより、積層欠陥が形成されたと結論できる。これより、低密度では部分転位による塑性変形、高密度では拡散クリープが支配的と考えられる。ただし、今回観察された部分転位の拡張幅(~100nm)は、既存データ(~10nm程度)に比べ5-10倍大きく、その理由については今後検討の必要があるが、金属の微細粒材の変形でも同様な部分転位の優先的な活動が報告されており、微細粒材特有の機構であると予想される。
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Research Products
(9 results)