2011 Fiscal Year Annual Research Report
実用化に向けたニオブ系鉛フリー圧電セラミックスの創製
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22560678
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
王 瑞平 独立行政法人産業技術総合研究所, 電子光技術研究部門, 主任研究員 (00358392)
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Keywords | 鉛フリー / 圧電セラミックス / ニオブ系 / ペロブスカイト |
Research Abstract |
我々は、今までの研究に基づいて、(Na0.5K0.5)NbO3母材にATiO3(A=Bi0.5K0.5,Bi0.5Na0.5,Bi0.5Li0.5)及びBZrO3(B=Ba,Sr,Ca)を同時に導入した(1-x-y)(Na0.5K0.5)NbO3-xATiO3-yBZrO3(NKN-AT-BZ)固溶体を作成し、正方晶/菱面晶相境界(MPB)の形成により、ニオブ系鉛フリー圧電セラミックスの圧電特性を大幅に向上させたことに成功した。実用化のために、微量希土類元素或いは遷移金属元素の添加により局所構造及び強誘電ドメインを制御することによって材料の圧電特性を調整することが必要不可欠である。しかし、NKN-AT-BZ固溶体の特性における微量元素添加の効果はまだ不明である。そこで、実用化水準のニオブ系鉛フリー圧電セラミックスを設計・創製するため、NKN-AT-BZ固溶体の組成に対して、系統的な実験を通して、各々添加元素の効果を明らかにする必要がある。 平成23年度は、主にCe、Mn及びMn+YをA=Bi0.5K0.5,B=Ba,NKN-BiKT-BZ固溶体のMPB近傍の組成へ添加し、これら添加元素とその添加量がNKN-BiKT-BZ固溶体圧電特性への影響を調べた。NKN-BiKT-BZ粉末を固相反応法で合成する。Ce、Mn及びMn+Yの添加量は0.1-0.5wt%である。得られた結果は以下に示すとおりである。 (1)Ce添加の場合 無添加のNKN-BiKT-BZ試料より、Ceを添加した試料は、kpとd33が向上している。また、添加量が0.1-0.5wt%範囲内で、kpとd33はほぼ添加量によらない。 (2)Mn添加の場合 無添加のNKN-BiKT-BZ試料より、Mnを添加した試料は、kpとd33が向上している。Ceを添加した試料と異なり、kpとd33はMnの添加量に強く依存する。添加量が0.25wt%試料は最も高い圧電特性が示す。 (3)Mn+Y添加の場合 無添加のNKN-BiKT-BZ試料より、Mn+Yを添加した場合は、kpとd33が大きな変化がない。 Ceの価数は3+で、NKN-BiKT-BZ試料のAサイト元素の価数(1.08+,x+y=0.08の場合)より高い。従って、Ce添加の場合は試料がソフト化し、kpとd33が向上する。Mnを添加した試料のkpとd33が向上した主な原因は粒子サイズの増大であることが走査型電子顕微鏡の観察で分かった。しかし、Mn添加により試料のハード化効果(Qmの増大、kpとd33の低下)も確認されている。従って、Mnを最適量以上添加すると、粒子サイズ増大の効果がハード化効果に負け、kpとd33が低下に転する。 NKN-BiKT-BZ試料にMnを単独添加した場合は試料の粒子サイズが増大するが、Mn+Yを添加した場合は粒子のサイズがほぼ増大しない。これは、Mn+Yを添加した試料のkpとd33が大きな変化がないの原因の一つであると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
震災及び節電の影響で、H23年度に実験を行える期間が平年より数ヶ月短かった。従って、交付申請書に記載した計画より、進展が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
H23年度は、震災及び節電の影響で、実験の出来る期間が平年より短く、本研究課題の進展が計画より遅れている。 H24年度は、本研究課題の最終年度である。最終年度に、H24年度の計画通り研究を推進するとともに、H23年度の研究遅れも取り戻すように頑張る。課題が終了するとき、最初に設定した目的に達成できるように努力していく所存である。
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