2011 Fiscal Year Annual Research Report
高伝導率と高熱電能の熱電材料を用いた自己冷却デバイスの開発
Project/Area Number |
22560691
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
中津川 博 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (40303086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 庸一 防衛大学校, 電気情報学群, 准教授 (10546063)
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Keywords | 電子デバイス・機器 / 廃熱利用 / 熱電変換 / ペルチェ冷却 / 自己冷却 |
Research Abstract |
金属、金属間化合物、酸化物、半導体などに温度差を付けると温度差に比例した起電力が発生し(ゼーベック効果)、電流を流すと電流に比例した吸熱・放熱が発生する(ペルチェ効果)。本研究は、ペルチェ効果に伴い発生するペルチェ吸熱、及び、従来から利用されて来た熱伝導を利用した新たな冷却手段を提案し、パワーデバイスの発熱を低減化するための自己冷却デバイスを開発することを目的としている。ここで、パワーデバイス自身に流れる電流を利用した新しいペルチェ冷却手段を付与したパワーデバイスのことを本研究では自己冷却デバイスと定義する。昨年度までに実施した自己冷却デバイスの作製とその鍍金処理技術の確立により、熱伝導とペルチェ吸熱を冷却に積極的に利用してパワーデバイスを冷却する自己冷却デバイスを作製するためには、熱電素子(半導体)と銅板(金属)との電気的接触が最も重要であることが判明した。電流を流さなければペルチェ熱が発生しないが、接触抵抗があるとジュール熱が発生してしまうので、鍍金処理を施して電極をSiウェハー両面に設置した。自己冷却デバイスの冷却性能評価は、自己冷却デバイスを市販のパワーデバイス(MOSFET:IRF1324PbF)と水冷ヒートシンクとの間に挟み、ゲート電圧10V下で10A以上のドレイン電流を流すことによって、パワーデバイス表面温度を赤外線サーモグラフィ装置で測定することにより、熱電素子を挟まないパワーデバイスのみの場合と比較検討することによって自己冷却デバイスの冷却性能を評価している。昨年度までに、電気伝導率と熱伝導率が大きく、且つ、ゼーベック係数の絶対値が大きいn型及びp型Si熱電素子を用いれば、熱伝導及びペルチェ吸熱を用いたパワーデバイスの冷却の可能性が高いことを明らかにすることができたので、本年度は、自己冷却デバイスの実用化の為、性能信頼性の更なる向上を目指す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに実施した自己冷却デバイスの作製とその鍍金処理技術の確立により、熱伝導とペルチェ吸熱を冷却に積極的に利用してパワーデバイスを冷却する自己冷却デバイスを作製するためには、熱電素子(半導体)と銅板(金属)との電気的接触が最も重要であることが判明した為。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに、電気伝導率と熱伝導率が大きく、且つ、ゼーベック係数の絶対値が大きいn型及びp型Si熱電素子を用いれば、熱伝導及びペルチェ吸熱を用いたパワーデバイスの冷却の可能性が高いことを明らかにすることができたので、本年度は、自己冷却デバイスの実用化の為、印加電流を10A,20A,30A,40A,50A,60Aに振り、水冷ヒートシンク内の水温を15℃,10℃,5℃に振って、n型Siのみ、p型Siのみ、n型及びp型Siを両方設置した場合について、それぞれMOSFETのみの温度分布と比較して、性能信頼性の更なる向上を目指す予定である。
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Research Products
(4 results)