2010 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物の擬似容量を利用した固体高分子形燃料電池用高耐久性カソード触媒の創製
Project/Area Number |
22560693
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
野原 愼士 山梨大学, クリーンエネルギー研究センター, 准教授 (40326278)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 金属酸化物 / 擬似容量 / カソード触媒 / カーボン劣化 / 酸化スズ / 起動停止 |
Research Abstract |
今年度に得られた研究成果は以下のようである。 1. まず、使用する金属酸化物を、強酸性下で化学的に安定であり、比較的高い擬似容量を示すことから、酸化スズ(主としてSnO_2)に絞り、その作製法を検討した。作製手順として、まず一定量の塩化スズ(SnCl_2)をエタノールに溶解後、水を加え、pH調整し、放置することによりコロイド溶液を作製した。このコロイド溶液をろ過後、得られた試料を溶媒で洗浄し、さらに溶媒を十分に除去するために、空気中で自然乾燥(1日)あるいは真空乾燥(30分)を行った。得られた粉末試料のSEM観察の結果、自然乾燥した試料では、粒子の凝集や増大が起こり、粒径が数μm以上の大きな粒子が多数見られた。一方、真空乾燥した試料では、ほとんどが数十から数百nmの粒径の小さな粒子が観測された。X線回折から真空乾燥した試料は主としてSn_6O_4(OH)_4相から成ることがわかったが、これを空気中で熱処理(400℃、2h)することにより、粒子径はほとんど変化せずに、SnO_2相に変化することが明らかとなった。 2. この熱処理した試料を市販のPt/GC触媒と体積比で1:1になるように混合し、電極を作製した。サイクリックボルタンメトリー(0.1 M HClO_4中)では、酸化スズを混合することでPtの電気化学活性表面積はほとんど変化しないが、二重層領域の容量(capacitance)が約1.4倍に増大することを見出した。また、電極に一定のアノード電流を流したときの電位応答を観測した結果、Pt/GC触媒に酸化スズを混合することにより、電位上昇がかなり抑制されることが明らかとなった。これは、酸化スズの混合により電極の容量が増大したためであり、燃料電池の起動停止時におけるカソードの電位上昇を抑制し、カーボン酸化(腐食)を低減する可能性を示唆するものである。
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Research Products
(1 results)