2011 Fiscal Year Annual Research Report
金属酸化物の擬似容量を利用した固体高分子形燃料電池用高耐久性カソード触媒の創製
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22560693
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
野原 愼士 山梨大学, クリーンエネルギー研究センター, 准教授 (40326278)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 金属酸化物 / 擬似容量 / カソード触媒 / カーボン劣化 / 酸化スズ / 起動停止 |
Research Abstract |
今年度に得られた主な研究成果は以下のようである。 1.昨年度にゾルゲル法により作製した酸化スズと本研究室で火炎法により作製したアンチモンあるいはニオブをドープした酸化スズについて、市販のPt/GC触媒に体積比で1:1で添加した際の電極特性について比較検討を行った。サイクリックボルタンメトリー(0.1MHCIO_4中)から、火炎法により作製した試料を添加した電極の二重層領域の容量(capacitance)は、無添加のPt/GC触媒のみの電極の約1.8倍を示し、またゾルゲル法による試料を添加した電極よりもさらに約1.4倍大きかった。これは、火炎法による試料の方が一次粒子径が小さいため、比表面積が大きいことと、それぞれの粒子が三次元的に連結した連珠構造で、かつアンチモンあるいはニオブドープのため、電子伝導性が向上し、酸化物の利用率も向上したためと考えられる。また、電極に一定の酸化電流を流したときの電位応答を観測した結果、火炎法による試料の添加により、Pt/GC電極触媒の電位上昇がかなり抑制されることも明らかとなった。 2.膜電極接合体(MEA)を作製し、実際の燃料電池の起動停止を模擬し、水素と空気を交互にアノードに導入する実験系を構築し、耐久性試験を行った。市販のPt/CB触媒を用い、まず、標準データとして酸化スズが無添加のMEAについて評価した。水素と空気の導入を30秒毎に切り替えることにより、それぞれセル電圧の上昇と低下が交互に観測され、このサイクルに伴いカソードでのPtの電気化学活性表面積は大きく減少した(500サイクルで初期の30%以下)。また、電流-電位曲線の評価でも、サイクルに伴いセル性能が低下することも観測された。よって、この触媒のみの場合は、アノードでの水素と空気の導入の切り替えにより、カソードでのカーボン担体の酸化(劣化)が大きく促進されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
燃料電池の起動停止を模擬した新たな実験系の構築にある程度時間を費やすとともに、水素、空気の導入の切り替えを、人為的な要因による実験誤差を防ぐために、手動からコンピュータ制御による自動切り替えに変更することとし、準備を進めたため予定以上に時間を要した。現在はそれもほぼ完了したので、次年度にはすぐに自動切り替えによる実験系にてそれぞれのセルの比較検討を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
三次元的に連珠構造を有する火炎法で作製したニオブドープ酸化スズ試料を中心に、まず、その効果を最大限に引き出すために、作製時の熱処理条件等も検討し、その試料の微細構造、比表面積が電極の擬似容量、レート特性や、電位上昇の抑制に及ぼす効果を検討し、最適化を図る。そして、その試料を用いてMEAを作製し、自動化した実験系で、燃料電池の起動停止模擬試験を行う。カソードのPtの電気化学的表面積やMEAの電流-電位曲線の変化を測定するとともに、カソードでの二酸化炭素の発生量や触媒層の構造変化も調べ、劣化機構も解析する。得られた知見から、新たに試料の微細構造の再設計および試料作製を行い、再び上記の特性評価を実施していく。
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