2011 Fiscal Year Annual Research Report
自発的ナノスケール相分離とそれを利用した低次元ナノ構造体の創製
Project/Area Number |
22560696
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石丸 学 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (00264086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 和久 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (70314424)
長谷川 繁彦 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (50189528)
朝日 一 大阪大学, 産業科学研究所, 特任教授 (90192947)
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Keywords | 自己組織化 / 透過電子顕微鏡 / 欠陥制御 |
Research Abstract |
加速した電子やイオン等により材料改質を行う量子ビーム技術は、エネルギーや照射量等の条件を変化させることにより、材料の表面から内部に渡って、所望の位置にナノ構造体を形成することが出来る。本年度は、窒化ガリウム(GaN)単結晶基板に対して高エネルギーイオン照射を施し、照射条件および熱処理条件の組織形成過程に及ぼす影響について調べた。その結果、以下のことが明らかとなった。 1.透過電子顕微鏡法による断面観察の結果、高エネルギーAuイオン照射を施したGaN単結晶基板中には、(0001)面から成る積層欠陥が多量に導入されていたことが確認された。 2.損傷領域から得られた電子回折図形において001や003禁制反射の分裂が見られ、積層欠陥は周期配列していることが明らかとなった。 3.照射損傷領域には窒素ガスによるバブルが含まれていた。この結果より、積層欠陥はGa面から成ると類推される。 4.イオン照射温度や熱処理温度が高くなるに伴い、周期配列した積層欠陥の変調周期はが大きくなることが確認された。これは、照射時に導入された欠陥濃度が低くなることに対応している。 以上の結果は、イオンビーム技術により導入される欠陥を用いることにより低次元ナノ構造体を実現出来、照射条件や熱処理条件を変化させることより、変調周期を制御出来ることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、エピタキシャル成長やイオンビーム技術を用いて低次元ナノ構造体の創製に成功しており、得られたデーターは原著論文として報告している。
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Strategy for Future Research Activity |
最近我々は、スピントロニクス材料として注目されている希土類元素ドープGaNにおいて自然超格子が自発的に形成されることを見いだした。今年度は、X線回折や透過電子顕微鏡法等の回折結晶学的手法を駆使して、極微構造解析を行う予定である。
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