2010 Fiscal Year Annual Research Report
生体用チタン合金陽極酸化皮膜の強度と機能性を向上させる水熱処理法
Project/Area Number |
22560700
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
田中 康弘 香川大学, 工学部, 准教授 (10217086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馮 旗 香川大学, 工学部, 教授 (80274356)
石川 善恵 香川大学, 工学部, 助教 (20509129)
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Keywords | 生体材料 / 陽極酸化処理 / マイクロアーク酸化 / アパタイト生成 / ナノチューブ形成 / 集束イオンビーム断面観察 |
Research Abstract |
本研究ではチタン酸化皮膜中にCaイオンを水熱処理によって固定し、これを元に表面皮膜をアパタイト化することを目的としている。 平成22年度は二種類の陽極酸化法に着目してTi-6Al-7Nb(α+β)2相合金の多孔質酸化皮膜生成を行った。 1.カルシウムイオン含有電解液を利用して陽極酸化することで、陽極酸化段階でCaイオンを酸化皮膜中に取り込むことを目指した。酢酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウムなどCaイオンの溶解度が比較的大きい電解液を利用してマイクロアークアノード処理を行い、多孔質酸化皮膜を生成した。しかし、生成皮膜中にCaイオンの存在は認められなかった。しかしカソード処理を行うとCaイオンの表面皮膜中への取り込みに成功した。今後、Caイオン取り込み酸化皮膜の水熱処理を行い、Caイオンの皮膜中への固定を目指す。 2.2相合金におけるナノチューブ生成の可否に関する検討を行った。NaFおよびKFのフッ化物含有電解液を用いて陽極酸化を行うと純Tiと同様に数十nmの孔径からなるナノチューブ生成皮膜が確認できた。Alが分配されるα相では純Tiと同様のナノチューブとなるのに対して、Nbが分配されるβ相の上に生成する酸化皮膜はフッ化物イオンに対する溶解度が小さくナノチューブの深さは小さい傾向が見られた。 酸化皮膜の断面FIB観察の結果、α+β2相合金では下地金属の相に分配された構成元素が上部酸化物皮膜中の構造に影響を与える知見が得られた。この傾向は酸化皮膜生成速度が大きいマイクロアーク酸化においても確認できた。今後、酸化皮膜中の元素分布と酸化皮膜の生成・溶出作用の関係について検討していく必要がある。
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Research Products
(3 results)