2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560702
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
羽坂 雅之 長崎大学, 工学研究科, 教授 (30039698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森村 隆夫 長崎大学, 工学研究科, 助教 (30230147)
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Keywords | 金属物性 / 格子欠陥 / 電子顕微鏡 / 電気・電子材料 |
Research Abstract |
熱電変換材料Zn_4Sb_3においては、ZnとSbが結晶格子を組み、Znがガラス状に侵入サイトに配置する。このため、Zn_4Sb_3は、金属結晶の様な高電導性とガラスの様な低熱伝導性を合わせ持ち、熱電材料として更に熱電性能が高められることが期待される。 本研究の目的は、Zr-Sb合金の塊状固体(バルク)、薄膜状リボン、粉末焼結体を作製し、Zn_4Sb_3構造が出現する組成範囲、及びZnの存在形態と分布について実験的に明らかにし、金属学的考察を加えることによって、熱電性能の改善をはかることである。 本年度は、Zn_xSb_3、(x=3.4~4.3)合金のバルク及びリボンを液体急冷法によって作製すると共に、粉末焼結体ディスクを作製し、種々の熱処理を行った。その後、X線回折実験、電子顕微鏡観察、ゼーベック係数の測定、電導度の測定、熱伝導度の測定、性能指数の測定、出力因子の算出などを行った。 得られた知見は次の通りである。 (a)ゼーベック係数、電導度、熱伝導度、性能指数、出力因子は組成x及び熱処理によって、また、バルクかリボンか焼結体かによって異なる。 (b)性能指数は、x>4の範囲の焼結体において温度上昇と共に特に大きくなる。 (c)Znの分布状態は熱処理の際の雰囲気に依存するため、性能指数は熱処理の際の雰囲気に依存する。 (d)Zn_4Sb_3は化学量論組成の範囲外に固溶領域をもち、xによって異なる量のショットキー型、フレンケル型の侵入型Znを含んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の方針に沿って、Zn-Sb合金におけるZn_4Sb_3構造と熱電的性質を明らかにししつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の方針に沿って、Zn-Sb合金におけるZn_4Sb_3構造を明らかにする。このために、さらに電子顕微鏡による解析を行う予定である。また、得られた構造の知見に基づいて熱電的性質を根本的に解釈し、熱電性能の改善指針をまとめる予定である。
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