2011 Fiscal Year Annual Research Report
遮熱コーティングシステムの微視的様相に着目したクリープ及び疲労損傷機構の解明
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22560703
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
高橋 智 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (80260785)
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Keywords | 遮熱コーティング / 高温材料 / 損傷解析 / 溶射 / その場観察 |
Research Abstract |
ガスタービン高温部材である動翼部に遮熱コーティング(TBC)を適用する場合,部位によって熱機械的負荷モードが異なるため,信頼性と耐久性に優れた高性能のTBCシステムの設計・開発には,機械的負荷条件下におけるTBCシステムの損傷劣化メカニズムを解明することが不可欠である.本研究では,機械的損傷挙動その場観察装置を用い,き裂発生・進展挙動をコーティング微構造と関連づけて検討した. (1)TBCシステム損傷挙動その場観察 先行研究よりも高温である900℃でクリープ及び疲労損傷挙動のその場観察を実施した.クリープ負荷下では,ひずみの増加に伴ってトップコート表面からき裂が発生するが,ボンドコートの塑性流動によって基材内部への進展が抑制される.一方,疲労負荷条件下ではトップコート/ボンドコート界面からき裂が発生し,基材内部へ進展して最終破断に至る.ただし,ボンドコート表面にビーズ処理を施し,ボンドコートをち密化させると,疲労き裂はボンドコート内をジグザグ状に進展し,進展速度をやや遅延できることを明らかにした. (2)TBCシステムのはく離損傷評価 TBCシステムが受ける各種損傷の中で,トップコートのはく離は実用上深刻な問題である.そこでTBCの損傷機構を多角的視点から検討するために,各種TBCシステムについて,JISH8451に従って熱衝撃抵抗を調べた.その結果,トップコートがYSZの場合,優れた熱衝撃抵抗を示す一方,A1203では熱衝撃過程で発生する圧縮応力がトップコート/ボンドコート界面近傍に層間はく離き裂を誘発し,熱衝撃抵抗を低下させた. 実機の起動・停止に伴ってTBCには圧縮負荷が繰り返し作用するので,次年度は圧縮疲労負荷条件下におけるTBCシステムのはく離損傷挙動も調べ,多角的観点から損傷機構の解明を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・損傷挙動を観察するために,試験片平行部の観察面を鏡面仕上げしなければならないが,特殊な丸棒試験片を用いているため,研磨を手動で行い,試験片準備に非常に時間を要してしまった. ・実用的な低応力負荷条件で試験を行ってしまったため,試験片1本につき長時間を要し,様々な条件を検討することができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
・試験片の研磨方法を改善する. ・実機TBCシステムでは,高温下でのクリープや疲労だけでなく,低温下で圧縮負荷の繰り返し作用によるトップコートのはく離損傷挙動の解明も重要であるので,単純な帯状TBC試験片を用い,曲げ圧縮疲労によるトップコートのはく離挙動も調べ,これらを併せてTBCシステムの損傷機構の解明を多角的観点から取り組む.
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