2011 Fiscal Year Annual Research Report
積層した異種フェロイック材料の積層界面の評価と機能複合化素子の開発
Project/Area Number |
22560707
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
岸 陽一 金沢工業大学, 工学部, 教授 (70265370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢島 善次郎 金沢工業大学, 工学部, 教授 (60148145)
池永 訓昭 金沢工業大学, ものづくり研究所, 講師 (30512371)
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Keywords | インテリジェント材料 / 非平衡相薄膜材料 / 形状記憶合金 / 相変態 |
Research Abstract |
スパッタリング成膜とイオン照射を同時に実現するスパッタリング・イオン照射複合プロセスを開発し,低温で結晶化したTiNi形状記憶合金を得ることが可能となった.イオン照射を利用して低温結晶化した薄膜の室温でのX線回折プロファイルは,回折角度(2θ)が44度近傍にブロードな回折ピーク(半価幅が1.5度程度)が得られた.合成後の熱処理によって結晶化した薄膜の場合は,B19'相,R相及びB2相の混相を示す回折ピークが2θ=42度から44度の範囲で得られることを確認した.これらのことから,イオン照射で得た薄膜は室温ではB19'相,R相及びB2相の混相であるものの,イオン照射による格子欠陥の導入またはナノ結晶化のためにブロードな回折ピークが得られたと推察している.断面組織を高分解能走査電顕で観察したが,界面はく離,界面近傍での異常成長などの特徴的形態は認められず,イオン照射の影響は断面組織に現れていなかった.高分子基板上に上記の複合プロセスを用いて結晶化した薄膜を付与し,カンチレバー状の素子を試作した.これに直流電源と任意波形発生器を接続し,電圧印加周波数と素子の動作の関係を定量的に評価した.電圧印加周波数が0.4Hz程度までは,良好な二方向形状回復動作を示すことを確認した.素子寸法,印加電圧などを工夫することでさらに高速に応答する可能性があることも確認した.上記と並行して,高分子圧電材料素子の作製にも取り組んだ.原料粉末と溶媒の混合割合,焼成条件,分極方法,などの作製条件と圧電特性などの基本特性との関連を調査した.高分子圧電材料素子は得られたものの,圧電特性などの基本特性にバラつきがあり,再現性の高い作製プロセスを確立するには至らなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
圧電特性などの基本特性の再現性が高い高分子圧電材料素子の作製プロセスが確立していないものの,それ以外は研究実施計画に対応した結果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の補足実験として,低温で結晶化したTiNi形状記憶合金薄膜の組織評価及び薄膜/高分子基板素子の機能性評価を行う.これと並行して,高分子圧電材料素子の圧電特性などの基本特性が高い再現性で得られる作製プロセスの確立を達成する.これらの結果をふまえて,本研究課題で提案する素子を作製し,その機能性,特に,繰返し特性を評価する.
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