2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560712
|
Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
川村 みどり 北見工業大学, 工学部, 教授 (70261401)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 良夫 北見工業大学, 工学部, 教授 (20261399)
|
Keywords | 銀薄膜 / 安定性 / 表界面層 / 密着性 / 電気抵抗率 / 表面形態 / 固溶 / 結晶配向性 |
Research Abstract |
熱的に高安定な銀薄膜作製のために有用な極薄表界面層物質の探索を行った。前年度、Tiの有用性を確認したので、今年度は、Tiと同様に安定な酸化物を容易に形成する特徴を有する金属群からNbと、貴金属群からPdを選択し、これらを用いて表面、界面、その両方にナノレイヤーを積層させた構造を作製し、熱処理前後における諸特性を調査した。'その結果、Nbでは、表面や界面に積層させることにより、熱的安定化が図れ、また、Tiと比較すると、Nbのバルクの抵抗率が低いことから、表面層として用いた場合の抵抗率の増大が抑制された。結果として、Nbの有用性が確認された。また、凝集抑制メカニズムの考察のために、積層構造(Nb/Ag)をスパッタ装置内でポストアニールし、XPSにより表面Nb層の化学状態を調査した結果、表面Nb層がメタル状態であっても、酸化物状態であっても、凝集抑制に効果があるという結果が得られた。したがって、酸化物形成の容易さが表界面層物質の必要条件ではないと考えられ、これは、表界面層物質の選択上、新規な知見である。 一方、Pdを表界面層として用いた積層構造では、高い凝集抑制効果は認められなかった。加えて、PdがAgに全率固溶するという特徴から、熱処理後はナノレイヤーが消失して、Ag層に固溶し、結果的に抵抗率を大きく増大させることが判明し、固溶する物質は表界面層には不適であることが確認された。 また、界面層の存在により、その上に成膜したAg膜の結晶配向性が向上する場合があることも判明した。Ag膜は多結晶膜ではあるが、Ti、Nb、Pdの順に配向性が優れていた事から、エピタキシャル成長の際の格子ミスマッチと同様の考察が成立すると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定に沿って、複数の金属群を用いての検討が実行できた。加えて、高安定性のためのメカニズムに関する知見が得られたことは、重要であると考える、
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年においては、酸化が容易ではなく、またAgに固溶しないという特徴を有するNi等を中心に実験を行い、銀薄膜の安定化に有用な表界面層物質に関する総括を行う。
|
Research Products
(6 results)