2010 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブ複合めっきの共析メカニズムの解明
Project/Area Number |
22560715
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
新井 進 信州大学, 工学部, 准教授 (20313835)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 共析 / ゼータ電位 / CNT濃度 / 絡まり効果 / CNT含有量 |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)複合めっきの共析挙動に影響すると考えられる幾つかの因子について検討した。ゼータ電位については,先ず評価方法について検証した。ゼータ電位測定方式としては電気泳動法と振動電流法を用いた。電気泳動法ではめっき浴が高い伝導率を有することおよび濃厚分散系での測定信頼性が低いことからCNT複合めっき浴中のCNTのゼータ電位の正確な困難であった。振動電流法では複合めっき浴の濾液をバックグランド測定に用いる方法により正確な評価が可能となった。またCNT複合めっき浴中のCNTの濃度が測定信頼性に与える影響についても検討した結果,CNTを1vol%以上とすることで再現性のある評価ができることが明らかとなった。これらの知見に基づきCu-CNT複合めっき浴中のCNTのゼータ電位を振動電流法により評価した結果,Cu-CNT複合めっき浴中でCNTは僅かに正のゼータ電位を示すことが判明した。CNTのゼータ電位が正の値を示すことは銅が析出しているカソード表面にCNTが静電的な引力によって引き寄せられることを意味しており,実際にめっきした銅めっき膜中に多くのCNTが取り込まれていたことと一致した。 ゼータ電位以外の影響として,めっき浴中のCNTの濃度の影響を調べた結果,めっき浴中のCNTの濃度の増大に伴い,めっき膜中のCNTの含有量は増大した。またCNTは繊維状であるためゼータ電位やめっき浴中CNT濃度以外にCNTの絡まり効果によりCNTの取込まれ量が増大することが予測できる。パルス電解法によりCNTの絡まり効果を検討した結果,予測通り絡まり効果によるめっき膜中のCNT含有量の増大を確認できた。これらの結果から少なくともゼータ電位,めっき浴中のCNT濃度,CNTの絡まり(繊維状形状)がCNTの共析機構に影響することが明らかとなった。
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