2011 Fiscal Year Annual Research Report
コールドスプレー金属皮膜の密着力向上とセラミック基材への金属厚膜の形成
Project/Area Number |
22560716
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
榊 和彦 信州大学, 工学部, 准教授 (10252066)
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Keywords | 溶射 / コーティング / 粒子積層プロセス / コールドスプレー / 密着力 / 超音波支援 / スプレー角度 / 化学的親和力 |
Research Abstract |
新しいコーティング技術であるコールドスプレー(Cold Spray、以下CS法という)は優れた皮膜特性も持つが、実用化は限定的な部分に止まっている。このため、CS法をより実用的なコーティング技術にするため、皮膜の密着力および特性の改善を行った。得られた主な成果は以下である。 (1)超音波支援による後処理として皮膜表面の緻密化超音波支援は、塑性加工の分野で研究は行われはじめているが、皮膜性能の向上の取組は、国内外での報告がなく、期待される技術である。後処理として超音波ホーンによる金属皮膜の緻密化ができ、手動から自動化が行えるようになった。 (2)スプレー角度の鋭角化による粒子滑動付与による密着力向上鏡面仕上げした黄銅(硬さ122HV)、軟鋼(173HV)、合金鋼(304HV)、窒化ケイ素(1450HV)、アルミナ(1800HV)の基材に、アルミニウムと銅の皮膜について、スプレー角度を90°から60°に鋭角化すると、皮膜の密着力はいずれも向上した。ソーダガラス(646HV)基材上のアルミニウム皮膜は、ガラス基材内から破壊し、スプレー角度の影響は確認できなかった。 (3)化学的な親和力に関する研究CS法によるガラス基板上のアルミニウム皮膜の密着力の特異性は、ガラスとアルミニウム界面に凹凸を形成せず、滑らかなその界面に約100nmの反応層が生成し、その反応層は、主にO、Al、Siが含まれることがTEMによる観察でも示唆された。なお、この密着力20MPa以上で、界面でなくガラスの基材層から破断する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画の実施項目は実施し、研究実績の概要に記載した成果は得られているものの、化学的な親和力による皮膜付着のメカニズムの解明やその評価が難しく、全体の進捗状況はやや遅れていると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
効果の確認できた(1)超音波支援による後処理として皮膜表面の緻密化、(2)スプレー角度の鋭角化による粒子滑動付与による密着力向上、(3)ガラス基材とアルミニウム皮膜の特異な密着のメカニズムの検討に注力する。一方、効果の確認ができない(4)超音波支援による衝撃波緩和による皮膜密着力向上、装置の作製が現状で困難なことが分かった(5)超音波支援による基材表面活性化による皮膜密着力向上に関しては、検討を見合わせる。
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