2010 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒レーザー加工による非晶質金属薄膜ナノ周期構造形成
Project/Area Number |
22560720
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋田 昌樹 京都大学, 化学研究所, 准教授 (50291034)
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Keywords | フェムト秒レーザー加工 / 非晶質金属薄膜 / 高エネルギー金属イオン注入 |
Research Abstract |
本研究では、フェムト秒レーザー加工により金属表面に微細な「構造」を形成すると同時にその「結晶」を制御し、新しい機能性金属薄膜作成の基盤を確立することを目的としている。特に、従来法において非晶質が形成されなかった金、銀、銅といった実用上最も重要な金属に対して、レーザー誘起ナノ周期構造を試みレーザー照射条件とその結晶構造の関係から非晶質薄膜形成機構の解明を試みる。単結晶から非晶質を得るためには、加熱-冷却時間をいかに短くできるかにかかっている。本実験では、従来まで実現できなかったフェムト秒の時間領域で薄膜を加熱-冷却できる特徴に加えて、高エネルギー粒子線、高圧力、高強光電場が同時に存在し、それらの寄与により薄膜金属表面に新しい結晶構造が作り出されている可能性が高い。この複雑にからんだ状態により作り出される結晶構造を精密に制御・形成するための基盤を構築するため、本年度は銅薄膜に対して下記に示す3項目について研究に取り組んだ。 (1)フェムト秒レーザー加工による金属薄膜のナノ周期構造形成(2)ナノ周期構造金属薄膜の結晶評価(3)フェムト秒レーザー加工による金属薄膜の結晶制御 実験では、膜厚300nmの単結晶銅薄膜にレーザー(160fs, 800nm)を集光照射し、極表層部のみをアブレーションさせナノ周期構造を形成すると共に、膜厚が20nm程度になるように照射回数を制御した。照射後の金属薄膜は、電子顕微鏡により表面及び回折像観察した。照射前後の回折像の比較からF>0.35J/cm^2及びF〈0.2J/cm^2のレーザー照射では多結晶となり、0.23J/cm^2では著しい結晶性の消失を示す回折像が得られた。0.23J/cm^2照射時には、金属表面から30eVのイオンが放出されていることが最近の我々のグループの研究で明らかになっており、このイオンが結晶性消失に寄与している可能性がある。
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Research Products
(3 results)