2010 Fiscal Year Annual Research Report
自己修復作用を持つ高耐食性亜鉛-ナノ微粒子複合電析
Project/Area Number |
22560725
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大上 悟 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (90264085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 博昭 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (70325504)
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Keywords | 複合電析 / セリウム |
Research Abstract |
この研究は亜鉛マトリックス中に自己修復機能を持つ可能性のある高原子価金属酸化物を分散添加した亜鉛複合めっきの作製をおこなった。分散添加する方法として研究者が採用した方法は陰極近傍にて水素発生によるpH上昇を利用して金属酸化物を「その場生成」する方法である。 今回はセリウム(Ce)を使用した。セリウムには3価と4価があるため,それぞれの硫酸塩を硫酸亜鉛電解浴に添加し,浴条件・電解条件を種々変化させながら亜鉛めっきを電析させ,セリウムを定量した。 3価のセリウム硫酸塩においては低電流密度域から高電流密度域までほとんど共析しなかった。 4価のセリウム硫酸塩においてはpH2で低電流密度域で15%程度のCeが定量された。ただし亜鉛の電流効率は低く,めっき表面の目視観察においては黄色の脆い粉状の析出が見られた。この電析物をESCA分析すると3価と4価のCeの存在を示すプロファイルが得られた。また黄色い粉状析出物をぬぐったものについて,断面試料作製を行い,SEM/EDX分析を行ったところ,Ceの痕跡は見られず,定量されたCeはそのほとんどが亜鉛めっきの表面上に付着した脆い組織に由来することが考えられた。 まためっきの添加剤として種々の濃度の第4級アンモニウム塩を添加したところ,3価のセリウム硫酸塩においては高濃度の添加剤濃度において1%~3%Ceが定量された,電析物表面には析出物が見られなかったため,亜鉛のマトリックス中に混入しているものと考えられる。また4価のセリウム硫酸塩においては添加剤を入れることで最大0.5%程度のCeが定量された。添加剤の有無による電流効率の変化はほとんど見られなかった。
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