2011 Fiscal Year Annual Research Report
自己修復作用を持つ高耐食性亜鉛-ナノ微粒子複合電析
Project/Area Number |
22560725
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大上 悟 九州大学, 大学院・工学研究院・材料工学部門, 助教 (90264085)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 博昭 九州大学, 大学院・工学研究院・材料工学部門, 教授 (70325504)
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Keywords | 複合電析 / 自己修復 / 耐食性 |
Research Abstract |
この研究は亜鉛マトリックス中に自己修復機能を持つ可能性のある高原子価金属酸化物を分散添加した亜鉛複合めっきの作製をおこなった。分散添加する方法として研究者が採用した方法は陰極近傍にて水素発生によるpH上昇を利用して金属酸化物を「その場生成」する方法である。 前回の実験において,第4級アンモニウム塩を添加した電解浴からCe(III)イオンならびにCe(IV)イオン含有の電解浴においてはCe(IV)イオンのものからめっき中へのCe元素の混入が認められた。そこでCe(IV)電解浴に焦点を絞り,電解中の陰極近傍のpHを測定すべく微小Sb電極を作製した。検量線溶液では,電位とpHの良好な直線関係が得られた。しかしながら,電解液においては微小Sb電極の電位が不安定となり,pHがあり得ない値を示した。浸漬前後の微小Sb電極の表面を光学顕微鏡で観察した結果,多量のSbが溶解しており,これが電位不安定の原因と考えられる。測定法を十分吟味して次年度に再度挑戦する。 めっき中における第4級アンモニウム塩の挙動を調査するため,溶媒抽出法と比色法を組み合わせた測定法を用い,めっき中の第4級アンモニウム塩を定量した。また水相にはZn,Ceのイオンが残存するので,これをICPを用いて定量した。以前の研究によりMgにおいては第4級アンモニウム塩とMgの量比はほぼ一定であったが,Ceのそれは不定であった。 電析物中の金属酸化物の分布を確認するために,めっき試料の断面出しを行い,FE-SEMを用いて,めっき断面の観察を行った。試料は(1)第4級アンモニウム塩を含まないもの,(2)第4級アンモニウム塩だけを含むもの,(3)第4級アンモニウム塩とCe(IV)イオンを含むものである。(1)においては空洞のないコンパクトなめっきであったが,(2),(3)においては,めっき中に微細な水酸化物もしくは酸化物と見られるコントラストが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
9.でも報告したように,陰極近傍のpHを測定するための手法に問題があった。すなわち微小アンチモン電極が電解液中にて異常溶解し,pHに対応する電位が出力されなかった。pH電極の作製に問題があったと考えられ,検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
界面pHの測定はこの研究においては欠かせない要素と思われる。従って,pH電極の作製を含めて再検討を行う。また今年度の結果ではめっき中に水酸化物らしきもののコントラストが認められたが,量比から考えて,全コントラストがCeによって得られたとは考えにくい。そこで,TEMによる組織観察を行い,水酸化物コントラストのどこにCeが存在しているのかを調査したい。
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