2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ結晶材料の延性・靱性解明のためのNi基バルクナノ結晶材料創製
Project/Area Number |
22560726
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
瀧川 順庸 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (70382231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 健司 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (50173133)
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Keywords | Ni基バルクナノ結晶材料 / 電解析出法 / 内部応力 / 高強度 / 高延性 |
Research Abstract |
本研究では、浴組成の検討・再検討により、均質でかつ内部応力を低減した厚み2mm以上のNi基バルクナノ結晶材料を創製することを目的とする。また、この健全なバルク試料に対して延性、靱性を評価することにより、ナノ結晶材料の機械的特性の本質に迫ることを目指す。平成23年度は、平成22年度に引き続きバルクナノ結晶Niの室温引張特性に及ぼす浴組成の影響について検討するとともに、平成22年度に得られたバルクナノ結晶Niの結果を参考に、Ni-W合金のナノ結晶材料作製条件の検討を行った。バルクナノ結晶Niの浴組成の室温引張特性に及ぼす影響として、光沢剤の影響について検討した。その結果、光沢剤の違いによる強度、延性の変化は、光沢剤に含まれる不純物元素に起因することが明らかになった。例えば、強度の変化は炭素の固溶による固溶強化、結晶粒微細化によるものであり、延性の変化は硫黄の粒界偏析による粒界すべり特性変化によるものであるとことが明らかになった。Ni-W合金のナノ結晶材料作製条件の検討においては、スルファミン酸浴を用いたNi-W作製プロセスの最適化を行った。Niの錯化剤としてプロピオン酸を用いて電析を行った。その結果、結晶粒径が20-40nm程度であり、従来の浴組成と比較して内部応力の小さいバルクナノ結晶試料が得られた。引張試験の結果、強度約1.5GPaに対して約3%の伸びが得られ、Ni-W合金においても浴組成を最適化し、内部応力を低減することにより延性を改善できる可能性を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バルクナノ結晶Niにおいて電解析出浴の最適化を行うことにより従来のNiの室温引張特性における強度と延性のバランスの最高レベルのものが得られているとともに、その知見を活用してNi-Wにおいても延性の発現を見いだしており、おおむね計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
バルクナノ結晶Ni-W合金においても、バルクナノ結晶Niと同様に、室温引張特性に及ぼす不純物元素の影響が重要になってくると考えられる。元素分析、理論計算などの結果を活用しながら、優れた強度・延性バランスを示すバルクナノ結晶Ni-W合金作製プロセスの最適化をおこなっていく予定である。
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Research Products
(14 results)