2011 Fiscal Year Annual Research Report
電子線誘起蒸着法による酸化物ナノ構造の作製とその物性評価
Project/Area Number |
22560727
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
下条 雅幸 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00242313)
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Keywords | ナノ材料 / 電子顕微鏡 / センサー |
Research Abstract |
目的の金属元素を含む有機金属化合物ガスを基板上に極少量流し、そこへ細く収束した電子ビームを照射することで、ガスを分解し、局所的に蒸着を行う方法は電子線誘起蒸着(EBID)法と呼ばれ、目的の場所へサイズや形状を制御してナノ構造を作製できる方法として有望である。申請者らは、この方法を用いて、金属や酸化物ナノ構造を作製してきたが、その中で、酸化モリブデン・ナノワイヤーにおいて、半導体特性があり光センサーやガスセンサーとして使用できることを見出した。また、このようなセンサーとして利用できる性質は、他の材料を用いたナノ構造でも得られる可能性がある。 そこで本研究では、このナノ構造の作製方法を制御し特性を最適化するとともに、EBID法を用いてナノ構造を作製し、ナノセンサー作製技術の確立をめざす。 昨年度は、電子ビームのスキャン回路を購入し、EBID装置の一部改良を行った。それを制御するソフトウエアも自主開発した。この装置を金ナノ粒子試料に対して用い、金ナノ粒子の光センサーとしての特性を検討した。また、ナノワイヤーの温度や環境を制御しながら電流-電圧特性を測定する装置一式(環境セル、電源、微小電流計、真空ポンプ、ヒーター等)を開発し、微小電流測定に対するノイズ対策を行い、炭素ナノワイヤーにおいて電流一電圧特性が測定できることを確認した。 本年度は、EBID法で酸化モリブデン・ナノワイヤーを作製し、その光伝導特性を測定した。その結果、光照射によって電気抵抗率が減少する特性が見いだされた。その中で、これまではナノワイヤーを結晶化するための熱処理が必要だと考えられていたが、非晶質の状態でも光伝導性があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度にナノワイヤーを作製する装置の改良を行い、ナノワイヤーを作製できるようになった。しかし、昨年末の大地震で装置のターボ分子ポンプが損傷し、半年ほど実験が進まなかった時期があった。現在は、修理が完了し、実験が行えるようになっている。このように、やや遅れはあったが、ナノワイヤーを作製し光伝導特性を測定でき、研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
酸化モリブデン・ナノワイヤーで光伝導性が出るようになったので、これに関してより定量性を出すために、光源や照度計などを準備し、計測していく予定である。また、酸化物ではないが、EBID法を用いて金ナノ粒子を基板上に配置・固定することで、プラズモン共鳴を利用したセンサーに応用できる可能性があると考えるに至った。 可能であれば、この研究も一部進めていく。有機物ではあるが、ポリジアセチレン・ナノ構造も電子線を制御することで作製可能になった。将来的にこの特性についても検討したいと考えている。
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Research Products
(5 results)