2011 Fiscal Year Annual Research Report
医療・バイオへの応用を目指したポリ尿素膜親水化処理に関する研究
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22560730
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
水野 潤 早稲田大学, ナノ理工学研究機構, 准教授 (60386737)
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Keywords | 薄膜 / 表面 / 界面 |
Research Abstract |
平成22年度でポリ尿素膜が成膜できる蒸着重合装置が出末上がったので、平成23年度は以下に示す2つの課題について研究をすることを計画した。 (I)ポリ尿素膜の加熱処理による安定化 常温で蒸着重合したポリ尿素はオリゴマーの状態であり、加熱処理により固相重合が進み安定したポリマーとなる。(1)蒸着重合時に基板を加熱(100℃以上)後、常温でVUV/03処理、(3)オリゴマー状態で、加熱しながら(100℃以上)VUV/03処理の2つの方法でVUV/03処理を行い、ポリ尿素膜(膜圧100~200nm)の水洗(純水超音波洗浄)に対する安定性、及び長期安定性を表面自由エネルギーとその活性化エネルギーから検討することとした。その結果、先ずは蒸着したポリ尿素腰を加熱せずに、純水に対する水の接触角を経時変化とともに評価した結果、接触角は60日間経っても20°という安定値を得ることができ、水洗しても剥がれないことを確認した。さらに加熱した結果では、加熱処理後も加熱前同様の接触角20°という低い値を維持することを確認した。 (II)ポリ尿素を用いた接合の条件最適化 ポリ尿素の接合メカニズムとして、オリゴマー末端である未反応のNC0基とNH2基との反応と、VUV/03処理により生成した極性基同士によるもの(例えば水素結合)の2つが考えられる。加熱処理により反応が進むため、初めて如熱処理を行う時期によって接合結果に影響が生じてくるものと予測している。これを検証するために、接合試験を行い、引っ張り試験で接合強度を測定した結果、接合強度が0.8MPa以上の値を得ることができ、チップとして使用可能か値を得ることが可能となった。従って期初の計画に対して目標を達成することができた。今回の使用した基板は主にPMMA基板を用いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリ尿素が成膜できる開発した蒸着重合装置に対し、成膜時にコンタミが無いように、毎回成膜前にチャンバークリーニングを行うなどして細心の注意を図りながら実験を行ったために、得られた成膜条件で、比較的に安定に成膜でき所望の成膜を得ることができたのと、VOV/03処理装置についても使用前に照射強度を測定してから実験を行ったために、取得した結果は高い再現性を確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリ尿素膜蒸着重合装置ができ、成膜条件、基板表面への接触角の値がわかってきたので、実際のマイクロ流路を作製し、先ずは製作上の再現性の確認を行った後に、液体を流して漏れチェックを行い、次にマイクロビーズを流して流れの様子を確認する。そして最後には実際の細胞を流し流路表面への吸着等が無いかどうかの評価を行う予定である。
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