2011 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ微細組織制御プロセッシングによるマグネシウムシリサイド系熱電材料の開発
Project/Area Number |
22560738
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Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
Principal Investigator |
谷 淳一 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 研究員 (20416324)
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Keywords | 材料加工・処理 / マグネシウムシリサイド / 廃熱利用 / 半導体物性 / ナノ材料 / 微細組織 / 熱電変換材料 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
RFマグネトロンスパッタ法により、スライドガラス、石英、アルミナ、シリコン単結晶((111)、(110)面)などの基板上に高配向マグネシウムシリサイド系薄膜が得られる成膜条件を検討し、その微細組織と電気的特性との相関を調べた。MgディスクとSiチップの複合ターゲット材を使用し、Mgディスク上に乗せるSiチップの面積を変えることでMg/Siの組成比を制御した。Mg-Si膜の微細組織は、基板温度、ガス圧、スパッタ時間、スパッタパワー、ターゲット材などのスパッタ条件によって著しく変化した。スパッタパワー300W、Arガス圧5mTorrの条件下で成膜した場合、室温でMg_2Si単一相の膜を作製することに成功した。薄膜x線回折測定の結果、Mg面積率(Mg/(Mg+si))が77.1%のターゲットを用いて成膜した場合、Mg_2si相の(111)、(220)面が強く観測された。一方、Mg面積率が75.8%の場合は、Mg_2si相の(200)、(311)、(422)、(440)面のピークが強く観測され、Mg/siの組成比がMg_2si相の配向性に大きく影響を及ぼすことが明らかとなった。また、Mg-Si膜の電気抵抗率、キャリアのタイプ、濃度、移動度などの輸送特性は、膜の組成の影響を強く受けた。Mg-Si薄膜の表面および断面のSEM観察より、ターゲットのMg面積率が77.1%で成膜した場合、平均粒子径が約1μmの微結晶から形成されていたが、75.8%の場合には、粒子径が約5~10μmの結晶から形成されていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RFマグネトロンスパッタ法によるマグネシウムシリサイド系薄膜が得られる成膜条件を決定することができ、室温の条件下でMg_2Si単一相の膜を作製することに成功した。また、Mg_2Si相の配向性、微細組織、電気的特性について、これまで報告されていない多くの重要な知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、当初の計画通り、ナノスケールで微細組織制御されたマグネシウムシリサイド系熱電材料を開発することを目的に、Ybファイバーレーザー光照射によるマグネシウムシリサイド系熱電半導体の改質について検討を進めていく予定である。
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