2011 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマス資源を利用したレアメタルの高度分離回収プロセスの創成
Project/Area Number |
22560748
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保田 富生子 九州大学, 工学研究院, 助教 (60294899)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 雅宏 九州大学, 工学研究院, 教授 (10211921)
|
Keywords | レアメタル / リサイクル / 分離回収 / 吸着 / バイオマス / 分子認識 / タンパク質 / 廃棄物 |
Research Abstract |
本年度は、さらにタンパク質系と新たにそれ以外の種々バイオマスによるレアメタルの吸着特性を、対象金属を広げて検討した。 貴金属に選択性を示すバイオマスの中から卵殻膜のようなタンパク質性バイオマス、酵母、菌体類を選択し、種々金属の吸着特性を検討した結果、タンパク質系ではPd,菌体系ではAuへの親和性が高くなることがわかった。Auの場合は、時間とともに還元による吸着もおこるため、還元性の吸着剤ではAuへの選択性が高くなった。さらに銀も強酸で、酵母、菌体ではInも吸着することを見出した。ある種のAu選択的ペプチドによるAgの吸着能力は低pHで低いことから、バイオマスには、いくつかの分子認識サイトが存在し、単分子とは異なる分子認識環境があると考えられた。一般金属に比べてInの選択性が非常に高く、条件設定により、Au、PtおよびPdと銀、In、一般金属をそれぞれ分離できることがわかった。 バイオマスのうち、水溶性のタンパク質は、pH調整により、または架橋剤を用いた架橋により不溶化することができ、不溶性タンパク由来のバイオマスと同様に金属を吸着することが可能となった。 廃棄物からのリサイクルに適用するために。プラズマディスプレイからのレアメタルの分離回収を検討した。プラズマディスプレイのプロント、リアパネルを剥離したスラッジには、主にAgとInが含まれており、これを硝酸により滲出した。滲出溶液を調製し、卵殻膜、酵母、菌体による吸着を行い、Agが回収できることがわかった。 タンパク質のアミノ酸に着目し、アミノ酸および類似分子よる金属の分子認識について検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々バイオマスを検討し、目的金属に適したバイオマスを見出すことができた。また、アミノ酸やペプチドと比較して、吸着のメカニズムも予測できた。今回AgやIn選択性の高いバイオマスを初めて見出したことから、実廃液への適用を行うことができた。詳細な吸着メカニズムの検討は必要であるが、概ね順調に進捗していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、バイオマスの分子認識に関して得られた知見をもとに、アミノ酸などの分子および分子配列の設計による吸着剤の開発を行い、種々組み合わせの金属混合物からのレアメタルの回収に応用する。またバイオマス由来の産業廃棄物について、吸着剤としての利用の可能性を検討する。
|