2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560750
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
鈴木 道隆 兵庫県立大学, 教授 (20137251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯村 健次 兵庫県立大学, 准教授 (30316046)
佐藤根 大士 兵庫県立大学, 助教 (00583709)
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Keywords | ナノ材料 / 面・界面物性 / 化学工学 / 環境材料 / 超薄膜 / 超撥水 / ファン・デル・ワールス力 / 粉塵付着 |
Research Abstract |
ナノ粒子を塗布した超撥水ガラス表面には粉体が付きにくい現象の原因を解明するために、基板表面上に球状アルミナ粒子を分散付着させ、遠心分離機を改造した装置を用いて遠心法で粒子付着力を測定した。これは、粉体粒子が遠心力で基板上から分離する際の回転数を求め、これから1個の付着力を直接測定するものである。その実験結果と、走査型プローブ顕微鏡を用いて測定した基板表面のナノスケールの凹凸との関係を実験的に検討し、理論的に検討した。 実験には、粒子表面を擬水処理した1次粒子径が7nmの球形シリカナノ粒子をアルコールに混合・分散した懸濁液を基板に塗布し、加熱乾燥して作ったガラス基板面のナノ粒子膜を使った。比較のために未改質のガラス基板も実験に用いた。また、ステンレス基板、アクリル基板、ゴム基板についても実験を行い、基板材質の違いについても検討を行った。 実験の結果、ナノ粒子を塗布した基板では未改質の基板よりも粒子付着力が低下し、粉体付着防止効果が付着力の減量のためであることが明確となった。また、ガラス表面の凹凸状態を表す自乗平均面粗さ,(RMS)と粉体粒子付着力との間には明確な相関関係があり、表面の凹凸が大きいほど付着力が低下することが明らかとなった。ナノ粒子塗布によって基板表面の凹凸が増加するとVan der Waals引力がどれだけ低下するのかを算出し、実験結果と比較検討した結果、ナノ粒子塗布によって平均表面間距離が伸びるために粉体粒子と基板間に働くファン・デル・ワールス力が減少することが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
遠心法で基板上での粒子付着力を直接測定し、van der Waals力の計算結果と比較した結果、ナノ粒子塗布によって生じる微小な凹凸により粒子と基板との表面間距離が増大し、van der Waals力が低下することを明らかにした。これはナノ粒子塗布による粉体付着防止効果の理論的裏付けに成功したことを意味し、研究の目的を十分に達成したことを意味する。
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Strategy for Future Research Activity |
これからは走査型プローブ顕微鏡の探針にアルミナ微粒子を直接接着したコロイドプローブを作製し、基板と粒子間の付着力を直接測定して、遠心法で求めた結果を検証する。さらにこれらの結果を応用しで粉体充填容器表面や粒子表面にナノ粒子を吹き付けて壁面への粉体付着防止効果や粉体充填特性の変化についても検討したい。また、パイプ内面へのナノ粒子塗布が粉体排出挙動にどのような影響を及ぼすのかについても実験的に検討を行い、今年度、これらの結果を国際学会で発表するとともに論文にまとめて投稿したい。
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