2011 Fiscal Year Annual Research Report
高分子溶液滴の蒸発・乾燥機構の解明および薄膜パターニング形状の制御手法の確立
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22560751
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
両角 仁夫 高知工科大学, 工学部, 准教授 (60304747)
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Keywords | 液滴 / 蒸発 / 薄膜パターニング / 濡れ性 / 数値解析 / 動的接触角 |
Research Abstract |
インクジェット技術を用いた電子デバイス製造プロセスでは、ノズルから吐出された機能性溶液の微小液滴をに板に着弾させ、溶剤の蒸発・乾燥を経て機能性薄膜を形成させる。このとき、厚みが均一かつ任意なパターン形状の薄膜を形成させることが望まれている。そこで本研究課題では、機能性溶液滴の蒸発・乾燥過程における熱・物質移動現象を実験および数値解析の両面から検討し、薄膜パターン形状の制御方法を確立することを目的として研究を遂行する。平成23年度は、前年度に構築した基板上での液滴蒸発過程の二相流シミュレーションコードを基に、均質基板上での液滴乾燥過程における接触線挙動および液滴内流動を検討した。 解析において、均質基板の濡れ性は基板上における液滴の自由エネルギーに基づいたPartial wetting boundary conditionにより与え、親水性および疎水性基板上での液滴蒸発挙動を解析した。さらに、親水性基板上での液滴乾燥過程において生じる接触線の固定を動的接触角モデルにより考慮した。その結果、液滴蒸発過程における接触線挙動に関しては、既往の実験結果と概ね良好に一致する結果が得られた。一方、液滴内流動に関しては、接触線が固定されている段階において接触線に向かう流れが見られ、液滴蒸発に伴う液滴内流動を定性的に再現する結果が示された。しかしながら、液滴内流れに対する蒸発速度の影響は観察されなかった。これは、数値解析の支配方程式で与えられている液滴表面の表面張力項の精度に起因していると考えられるが、シミュレーションで用いているパラメータを最適化することで改善されることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、不均質基板上での液滴内における流動・物質移動解析コードの構築を行う予定であったが、当該年度において均質基板上での液滴内流動の解析モデルに問題があることが判明した。しかし、この問題をほぼ解決したこと、さらに前年度において不均質基板上での液滴蒸発のシミュレーションコードをすでに構築していることから、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた成果を基に、当初の研究計画に従って(1)不均質基板上での液滴乾燥挙動および液滴内流動の検討、(2)液滴乾燥による薄膜生成シミュレーション、(3)薄膜パターニング形状の操作条件の検討を行う。
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Research Products
(4 results)