2011 Fiscal Year Annual Research Report
発酵生産されるバイオベースプラスチック原料のイオン液体を用いた新規分離
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22560754
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松本 道明 同志社大学, 理工学部, 教授 (10157381)
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Keywords | イオン液体 / 含浸液膜 / ベシクル / 分配平衡 / 乳酸 / プロパンジオール / 膜分離 / 高分子可塑剤膜 |
Research Abstract |
1.イオン液体を含む液膜による発酵産物の分離 バイオベースプラスチックの原料として注目されており発酵生産されている乳酸,1,3-プロパンジオールおよび糖についてイオン液体を含む液膜による分離を検討した.まず乳酸については,昨年度の研究より,安定な膜であることが見出されたイオン液体を含む高分子可塑剤膜についての乳酸の透過機構を明らかにした,1,3-プロパンジオールに関しては,昨年度見出した酸性の疎水性イオン液体を触媒として用いた反応抽出系において,その機構を詳細に検討し.その抽出錯体種などを明らかにした.本年度はさらに単糖の分離にも取り組み,糖とカリックスアレン類との特異的相互作用を利用したイオン液体含浸膜による分離系を構築した.以上新規の注目すべき物質群であるイオン液体は高価であるため,この使用量が比較的少なくて済む含浸膜,高分子可塑剤膜および触媒として利用する液液抽出技術など実用的な観点から検討した. 2.イオン液体の水-ベシクル間の分配 イオン液体の水-ベシクル間の分配平衡の測定に関して,昨年度までに確立した平衡透析法を用いてイオン液体の分配に及ぼす諸条件の影響を検討した.イオン液体のベシクル内の存在部位について蛍光分光法を用いて検討した.まだ,詳細な部位を特定するまでには至っていないが分析法を確立することができた。またイオン液体の分配に及ぼす温度効果を測定し,温度上昇とともに分配係数が減少し,この過程が発熱過程であることを明らかにした.この研究はイオン液体の生体への影響を考える際に特に重要であると考えられ,これまでの水-オクタノール分配係数に代わる生態影響への指標になるものと思われる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イオン液体を含む液膜によるバイオベースプラスチック原料の分離に関しては,ジオール系で液膜分離は成功しなかったものの新しい抽出分離系を確立し,またその他有機酸,糖についてはイオン液体膜による透過分離機構を明らかにできた.イオン液体の水-ベシクル間の分配係数の測定はこれまでにない新しい試みであったが,実験方法は確立できた.以上の理由により本研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
イオン液体を含む液膜によるバイオベースプラスチック原料の分離に関しては,有機酸,糖,抗生物質などの膜分離系の構築に成功しており,今後はバイオベースプラスチックの原料となる物質として,乳酸のほかにコハク酸などの有機酸が注目されているため,イオン液体膜の透過に及ぼす透過物質である有機酸の効果について系統的に検討を行う予定である.またイオン液体の水-ベシクル間の分配係数の測定に関しては,イオン液体の取り込み部位の確認,および幅広いイオン液体を測定することでイオン液体の構造との関係を明らかにする予定である.以上計画を大きく変更する必要はないものと考える.
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Research Products
(13 results)