Research Abstract |
本研究の目的は,界面活性剤の結晶表面安定化効果を利用したナノ結晶ゼオライトのサイズ制御と,結晶サイズに基づくゼオライト触媒の設計法の開発である.平成22年度は有機構造規定剤(OSDA)である4級アンモニウムを使用しない条件下でのゼオライトとしてMFI, MOR, FAUの各種ゼオライト, OSDAを使用するゼオライトとしてBEA型ゼオライトの合成と結晶サイズの制御ナノ結晶合成に成功した MFI型, MOR型ゼオライトの合成では,それぞれ仕込み原料のSi/Alモル比とナトリウムカチオン濃度により,結晶構造が変化することが明らかとなった.また,添加する界面活性剤の親水基鎖長の影響を検討したところ,親水基であるポリオキシエチレンユニット数が15個の時,結晶性が最も優れることが明らかとなった.さらに,界面活性剤の添加により,結晶サイズを200nm以下に制御することが可能となった.FAU型ゼオライトの合成では,カチオン濃度によって結晶サイズの制御が可能であり,界面活性剤の添加により結晶性が向上することを明らかにした.また,BEA型ゼオライトでは,界面活性剤を添加することで,カチオン(ナトリウム)フリーの条件での合成に成功した.有機シラン化合物を用いたシリル化により,酸点上に選択的にシリカユニットを形成させ,ゼオライトの酸点分布制御を実施した.芳香環を2個以上有する有機シラン化合物を用いると,各種ゼオライトの結晶外表面近傍の酸点のみを選択的に不活性化可能であることを見出した.さらに,結晶外表面酸点を不活性化したMFIゼオライトでは,芳香族のアルキル化反応において,高い形状選択性(パラ体の選択的合成)を示した
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